コラム

    • 進むも退くも...ドジョウ政権の苦悩

    • 2011年12月13日2011:12:13:11:15:15
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

 

 マルチ商法業者とのかかわりなどを理由にした山岡賢次国家公安委員長(消費者問題担当相)と、米軍普天間飛行場移設をめぐる前沖縄防衛局長の不適切発言の監督責任や平成7年の沖縄少女暴行事件について「詳細には知らない」答弁が問われた一川保夫防衛相の問責決議が9日の参院本会議で可決された。 
 
 臨時国会は同日で閉会したため、2人が即時辞任する可能性は低い。だが、野田佳彦首相は来年1月の通常国会開幕前に内閣改造を行うなどして、事実上、2人を更迭しなければならなくなった。消費税増税一辺倒、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加をめぐる“二枚舌”問題で内閣支持率が下落の一途をたどっているドジョウ政権にとって大きな打撃となる。2人の後任もよほど慎重に人選しないと、消費税論議の前に政権を投げ出す危機的状況に陥る可能性さえある。 
 
 「進むも地獄退くも地獄」。野田首相の置かれている状況を野党議員の一人はこう表現する。 
 
 もうひとつ、頭の痛いことがある。与党である国民新党の亀井静香代表による連立離脱、新党結成の動きだ。 
 
 亀井氏は消費税増税について「大震災、日本経済がデフレ状況で増税をやる環境にない」と批判したうえで、「首相が国を滅ぼすようなことに手出しする場合には、一緒に黙ってやる訳にはいかない」と連立離脱に言及した。 
 
 その亀井氏が、石原慎太郎東京都知事を党首に新党の結成を模索していたことが明らかになったのは11月下旬。民主、自民両党、たちあがれ日本に所属する保守系国会議員、大阪市長に当選した橋下徹氏が率いる「大阪維新の会」や大村秀章愛知県知事らの「日本一愛知の会」との連携も探っていた。 
 
 11月28日夜には都内の日本料理店で民主党の小沢一郎元代表と会談して、消費税増税反対を旗印に連携を深めることを確認したとされる。民主党内にあって反野田色を強める小沢氏との連携を暗示することは野田首相に対する恫喝そのものだ。 
 
 新党話は毎年末に必ず浮上する。政党助成金の配分が1月1日現在の所属国会議員数に応じて行われるためで、旧新進党解体の際の年末ぎりぎりまで続いた新党結成騒動は記憶に新しい。 
 
 だが、今回の主役は「オオカミ老年」の異名をもつ亀井氏。今年初めにも石原氏らと「救国内閣」をつくる構想を打ち出したが、東日本大震災もあって頓挫した。震災後も菅直人首相(当時)に挙国一致内閣 樹立を訴えたが相手にされないまま。「今回もその延長線上の話。本気で新党を立ち上げようとしている訳ではない」(民主党中堅)との見方がもっぱらだ。 
 
 別のルートで橋下氏らとの連携を模索するみんなの党の渡辺喜美代表は亀井氏の新党構想について「自民党守旧派そのものだ。非常に後ろ向きの集団になると思う。政党助成金ありきの新党は必ず失敗する」と切って捨て、当の橋下氏も「『維新』として誰かと組むことはありえない。国政へのスケベ心を出せばみんな離れてしまう。新党の話は頭にない」と亀井氏との現時点での連携を強く否定した。 
 
 また、石原氏も保守勢力糾合の必要性は認めたものの、「東京、大阪、名古屋が組んで、一体どんな新党ができるのか。よくわからない」と発言、かつて「盟友」だったたちあがれ日本の平沼赳夫代表も「亀井さんの一人芝居だ。たちあがれ日本としてはなんらコミットしていない」と新党参加を否定した。 
 
 亀井氏本人は「濁流でも身を投じないと歴史は動かない。(新党が)できそうもないからといって、やめる訳にはいかない」と依然として鼻息が荒いが、「最早、誰にも相手にされていない」(自民党中堅)状態だ。 
 
 とはいえ、政界の流動化がときの政権の基盤を危うくすることは避けられない。カメの動きがドジョウにどう影響するか。内閣改造が吉と出るか凶とでるかと合わせて年明けすぐの政局の焦点となりそうだ。
 
 
 
--- 關田伸雄 (政治ジャーナリスト)

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