コラム

    • 安倍政権は長期政権たり得るか

    • 2013年01月29日2013:01:29:09:00:00
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

 

衆院選での自民党圧勝と民主党の大幅退潮を受け、安倍政権が発足してから1カ月が経過した。
 
市場は積極的な金融緩和、機動的な財政出動と、民間投資を促すための成長戦略を柱とする「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を歓迎し、株価は上昇、異常な状態だった円高は解消されつつある。
 
1月11日に閣議決定した13兆円規模の緊急経済対策も、安倍晋三首相が衆院選で訴えていたデフレからの脱却、東日本大震災からの復興や防災対策、経済成長による「富」の創出に重点を置いており、これが政権全体の好評価につながっているようだ。
 
「まずまずの滑り出し。」自民党幹部の一人は自賛する。永田町関係者の間からは安倍政権が5年5カ月に及んだ小泉政権を超える長期政権となる可能性を指摘する声も上がり始めた。
 
しかし、これはあくまで「今のところ」であり、こうした状態が未来永劫続くわけではない。
 
尖閣諸島の国有化で悪化したままの日中関係には改善の兆しすらなく、中国艦船の領海侵犯、中国軍機の領空侵犯騒ぎが続いている。このままの状況が続けば、日本経済にも中国経済にも大きなダメージが及ぶ危険がある。
 
一方、大統領の竹島訪問や天皇陛下謝罪要求発言で最悪となった日韓関係は、韓国の政権交代によってやや明るい雰囲気が出てきてはいる。だが、ソウル高裁が日本からの特使派遣直前に靖国神社に放火した中国籍の刑事事件容疑者を「政治犯」と認定して日本に引き渡さない決定をしたほか、朴槿恵(パク・クネ)次期大統領は最初の特使を中国に派遣するなど、関係改善への明確な道筋は見えていない。
 
なぜか。
 
自民党幹部の一人は「民主党政権が根本から覆した日米関係が修復できていないためだ」と指摘している。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題や新型輸送機MV22オスプレイ配備問題で失われたり、傷ついたりした米国の信頼回復が急務だというのだ。
 
安倍首相ももちろんその必要性を熟知しており、就任早々に米国訪問と首脳会談実現を米国側に働きかけたものの、米国側との交渉はまとまらなかった。
 
「2期目を迎えたオバマ政権が中国との直接対話路線にさらに傾斜した」との見方や「米側が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加表明を首脳会談実現の前提条件にしてきたために日本側が受け入れられなかった」といった解説がされている。
 
いずれにせよ日米首脳会談は見送りとなり、安倍首相はベトナム、タイ、インドネシア歴訪を初外遊の代替地に選んだ。しかし、途中で、アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設で現地駐在の邦人を含む人質事件が発生し、日程を切り上げて帰国せざるを得なかった。3カ国訪問には「中国包囲網」構築の狙いもあったが、十分な成果を挙げられたとはいえない。
 
1月28日からは通常国会が始まり、緊急経済対策を実施するための補正予算案、来年度予算案の審議がスタートする。
 
政権安定のためには不可欠な7月の参院選勝利のためには今国会を成功裏に終えることが必要だ。安倍首相訪米はようやく2月下旬に行われることが固まったものの、その成果は未知数だ。
 
米中両国との関係は経済状況を含む日本の内政に大きな影響を及ぼす。
 
順風満帆であるかのように船出した第2次安倍政権だが、抱えている難問は枚挙にいとまがない。
 
外交で成果を挙げて、それを内政に結び付けていく。それができなければ安倍政権の長期政権化は絵に描いた餅に終わることになる。
 
 
 
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關田伸雄(政治ジャーナリスト)

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