コラム

    • 風力発電 ―循環型思想―

    • 2013年09月10日2013:09:10:09:05:00
      • 岡光序治
        • 会社経営、元厚生省勤務

 
一説によると、400年前、キリスト教会権力と科学合理主義とが妥協し、お互いの干渉は止めにすることになり、一挙に西欧科学が進展した、と。
 
パラダイムの転換周期は、400年とか。そろそろ、「人間は、日本人は、これからどう暮らしていくべきなのか」という問いかけをし、よって立つ基本の考えを確立すべき時期に来ていると思われる。端的に言えば、近代合理主義の徹底追及を見直し、地球号の限界や資源の有限性を念頭に循環型思想に転じる時期が来ているのではないか、というわけである。
 
マンガチックにいうと、近代合理主義は、事象を数字で捉え、大規模・集約型・非循環型社会を追及、一方、循環型思想は、数字で表しきれない何かの存在を認め、小規模・分散型・循環型社会を考える、というもの。
 
エネルギーの世界でも、近代合理主義の結集ともいえる原子力発電の危険性と限界が認識されるようになり、もちろん、石化燃料の有限性はとみに認識済みであり、自然エネルギー、再生可能エネルギーの利用拡大が課題として認識されるようになった。(言いたいのは、課題認識の思想背景をしっかり持つ必要がある、という点である。)
 
自然エネルギーには、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあるが、風力の中で興味を引く発明があるので、これを紹介しながら、新しいものを生み出す苦しみを考えてみたい。
 
 

■風車利用の歴史

 
風車利用の歴史は、5500年ほど前にさかのぼることができるという。古代バビロンやエジプトにおいて、土地の灌漑などに風車を使った記録が残っているそうだ。
 
風車に立ち向かう「ドン・キホーテ」が発表されたのが1605年、この頃のヨーロッパにおいて風車はよく知られた巨大建造物であったようだ。ちょうど同じ時期に徳川幕府が誕生しているが、江戸時代の日本で風車が利用された事実はないとのこと。明治時代になってからその姿が見られるようになった。産業革命が始まり風車が動力源として使われる機会は激減。しかし、20世紀末になり風力発電が本格スタートし、いわば返り咲きを果たしたわけである。
 
 

■風車の分類

 
風車は、回転軸が地面に対し水平な「水平軸風車」と、地面に垂直な「垂直軸風車」に分けることができる。同時に、飛行機の翼のように風の「揚力」を利用して回転するタイプと、受けた風の「抗力」を利用して回転するタイプに分類できる。
 
日本で発電に使われている風車の95%以上が、3枚羽根のプロペラ型水平軸風車で、世界の風力発電においてもこの型が標準になっている。この型は揚力を使って回転。広く採用されている理由は、発電効率がいいことに加え、製造コストを低く抑えたまま装置を大型化(高出力化)しやすく、初動のトルクも比較的小さくて済むため。
 
最大の問題は、「風まかせ」。24時間発電に利用できる強さの風が吹いているとは限らない。このほか、ブレードなどからの騒音や低周波振動による健康被害、タワーやブレードに野生の鳥類が衝突してけがをしたりするバードストライクも起きる。
 
 

■ベルシオン式風車

 
こうした問題を避け、同様の発電効率を実現する垂直型風車を発明したのが、栃木に研究所を持つ鈴木政彦さん。
 
羽根は、先端を一定の比率で内側に折り曲げ風を逃がさない構造にし(ベルシオン式、と称している)、羽根の断面形状は厚みのある紡錘形にしている。これは、従来型の羽根と全く違う。紡錘形にしている所以は、海中を150㎞/hの速度で泳ぐマグロの体を真似たもの。マグロが海中を進むとき、推進力の反作用で体を後ろから押す効果を持たせているのと同じ効果を狙ったもの。
 
垂直型だから風が360°どの方向から吹いても風車の回転に変えることができる。「ベルシオン翼」だからトルクがあって音がしないし、レスポンス(立ち上がり)がいい。回転時に音や振動が出ない。
 
コンパクトで設置しやすく、バードストライクは起こらない。
 
発電量は、大きいタイプのもので、14.5m/sの風で3,000w、5m/sで120w、8m/sで540w。家庭の電力源として使える。(ちなみに、一般家庭の平均的な年間使用電力量は4500kwh。これに対し、540w(3kwの風車が8m/sで発電する電気)×24h≒13kwh×365日=4745kwh)
 
しかし、経済産業省にこれの評価などを尋ねたらケンモホロロ。昔、聞いたことがありますねー、でおしまい。国内大手も関心は示したものの続かず。確かに、関連機器・増幅機・ブレーキ装置・動力伝達軸・発電機・蓄電器など組合せにも工夫がいるのだと思うが―複数社の連携が図りにくいということは分かるが、それにしても、進まない。
 
どなたかお知恵をお貸しいただけませんか?
 
 
 
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岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

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