コラム

    • 日本茶をもっと楽しもう!

    • 2015年03月24日2015:03:24:14:00:53
      • 岡光序治
        • 会社経営、元厚生省勤務

お茶は健康にも美容にもいいとされている。近年、健康に対する意識が高まり、かつ、ペットボトル入りのお茶が発売され、湯を沸かしたり茶器を用意したり茶殻を始末したりする手間が省け、手軽に飲めるようになり、お茶がよく飲まれるようになっている。
 
しかし、何かに効くから飲もう、との理由だけで、日本茶が飲まれ続けてきたわけではないと思う。長い間、暮らしの中で日本文化とかかわってきた日本茶。そこには、楽しさや奥深さがある。だからこそ、かくも長く愛されてきたのだ。
 
生活の中で「日本茶を楽しむ」時間があっていい。楽しみながら健康にいいというのは最高ではなかろうか?「朝茶は福が増す」とも「朝茶は七里帰っても飲め」ともいわれている。夏目漱石は「草枕」のなかなかで「濃く甘く、湯加減に出た、重い露を、舌の先へ一しずくずつ味って見るのは閑人適意の韻事である。・・・ただ馥郁たる匂が食道から胃のなかへ沁み渡るのみである。」といっている。
 
もっと、日本茶を楽しむ場と楽しみ方を教える機会や楽しみ方の伝授のチャンスを増やしていくべきだというのが本稿の意図するところである。
 
 

◆日本茶のさまざまな効能

 
日本茶には、野菜や果物と同じように、炭水化物、タンパク質、脂質、各種ビタミン、ミネラルなどの栄養成分が含まれている。注目すべきは、その「生体調節機能」を持つ成分を多く含んでいる点。いわば、天然のサプリメント。具体的には、カテキン(お茶の渋み成分。抗酸化作用)、カフェイン(お茶の苦味成分。覚醒作用や利尿促進、消化促進)、テアニン(お茶のうまみ成分。アルファ波の発生を促しリラックス効果)、フッ素、ビタミン類、フラボノイド(抗酸化作用、抗菌作用、防臭効果)など。
 
お茶の健康効果は、これらの機能性成分の相乗効果によって高められると考えられている。
 

◆“お ~いお茶”の開発

 
1985年 伊藤園、世界初の缶入り緑茶飲料「煎茶」発売。酸化の影響を受けにくい缶入り緑茶の開発は困難の連続。窒素を缶の上部に充てんし酸素を追い出す方法を開発
1989年 「お~いお茶」に名称変更。缶入り緑茶の人気に火が付く。
1990年 世界初のペットボトル入り緑茶飲料を発売。ペットボトルに熱を加えると膨張したり、樹脂から酸素が通り酸化。試行錯誤の結果、ペットボトルの内部に炭素をコーティングし、加熱可能なボトルを開発
1996年 小型ペットボトルの緑茶飲料発売開始
2000年 キリン参入。緑茶戦争、開始
2004年 サントリー参入。新たな緑茶戦争
 
 

◆日本茶の生産と消費

 
1965(昭和40)年以降の荒茶生産量を見ると、1975(昭和50)年の10万5500tをピークに、1995(平成7)年まで緩やかに減少。その後は、増加傾向。2004(平成16)年には再び10万tの大台に乗っている。
 
2007(平成19)年度の茶種別のお茶の生産量は、煎茶(深蒸し茶を含む)6万5000t、番茶1万7000t、かぶせ茶3900t、玉緑茶3200t、碾茶(抹茶及び食材用)1700t、玉露300t。碾茶は生産量が上がり、玉露と玉緑茶が減少。
 
一方、お茶の国内消費は、「国内生産量+輸入量-輸出量」から推定され、近年は10~11万t台で推移。飲料をはじめ食品に加工するときの原料などを差し引いた一般家庭での消費量は約5万6000t、全体の約5割強を占めると推定。
 
総務省の「家計調査」の「1世帯当たりの緑茶の購入量」によると、平成に入ってから1100g程度で、ほぼ横ばいか僅かに増加。1世帯当たりの人員の減少を考慮すると、お茶の消費量は減ってはいない。地域別の購入量を見ると、多い順に東海、九州、北陸、関東、北海道となっており、やはり、産地では多く飲まれている傾向がうかがえる。消費年齢に特徴が出ており、総じて年齢が上がるにしたがって購入量は増加し、70歳以上の層は29歳未満の約6倍になっている。
 
参考までに、ペットボトルのお茶の動向をみると、茶系飲料の中でも緑茶系の飲料に各メーカーは主力を注ぎ、緑茶系飲料の原料として推定2万6000tのお茶が使われ、新たなお茶の需要を生み出している。ちなみに、この系統の飲料は、原料の茶を抽出するところまではお茶を淹れるのと同様で、酸化防止剤などが添加され、茶液の濃度は急須で淹れた濃度の半分くらいのものが大部分とのこと。
 
 

◆お茶の楽しみ方?

 
同じチャから作られる茶にも、様々な種類がある。1.不発酵茶:生葉をできるだけ早く加熱し酵素の働きを止める。(緑茶)2.半発酵茶:酸化酵素を少し働かせ、加熱。(烏龍茶)3.発酵茶:発酵酵素を最大限働かせてから、加熱。(紅茶)
 
日本緑茶のほとんどは蒸気で生葉を蒸す。煎茶、玉露、碾茶、玉緑茶、番茶、焙じ茶と玄米茶など。
 
福寿園の社長夫人の著された本によると、二十四節気と同社のお茶の組み合わせが紹介されている。たとえば、立春:金箔入り抹茶、春分:煎茶かりがね、立夏:新茶「八十八」、立秋:氷出し碾茶、秋分:煎茶「萬福」、立冬:抹茶「萬丈の昔」、冬至:玉露、大寒:朝づみほうじ茶など。
 
日本各地には、自家用の茶を飲む習慣が残っている。茶粥もさまざま。それに、新聞報道によると、おいしい日本茶を学べるカフェもあちこちにある由。
 
こうした知恵をも生かしつつ、若い年齢層にも受け入れられるスタイルを開拓し、味を楽しみ、歴史と文化にも自ら接し感じ考え行動できるコーヒー店を超えるような拠点の整備とお茶を淹れる手法の開発=コーヒーメーカーに類した道具やコンパクト化した茶葉の開発を行えば、地方創生の一翼を担うことができるのではなかろうか。
 
 
 
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岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

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