コラム

    • 民進党崩壊のシナリオ――止まらない「社会党」化

    • 2017年05月09日2017:05:09:08:53:29
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

◆あくまで感情優先:説得力なき政権批判

 

最近の蓮舫民進党代表の言動を見ていると、2014年9月に亡くなった土井たか子元衆院議長のことを思い出す。
 
旧社会党の委員長として、「半永久政権」を担った自民党に「万年野党」として対峙した、いわゆる「55年体制」を支えた代表的な人物だ。「ダメなものはダメ」という問答無用の政権批判を繰り返した土井氏の姿が重なるのだ。
 
蓮舫氏が2009年の旧民主党政権による事業仕分けの際、激しい国際競争が続いている次世代スーパーコンピューター開発をめぐって「世界一になる理由は何があるんでしょうか? 2位じゃダメなんでしょうか?」と、世紀の愚問を発したことはあまりにも有名だ。
 
16年9月に民進党代表に就任した後も、自らの「二重国籍」問題についての説明が二転三転、プライバシーを理由に関係書類も一切公開していない。安倍晋三首相の政権批判も国民感情や民進党に好意的な一部マスコミのウケを狙った感情優先の発言ばかりを繰り返してきている。
 
政権や与党の問題点を指摘して、やり過ぎにブレーキをかけることが野党に求められていることは理解できる。だが、それには説得力が伴わなくてはならない。
 
大阪府豊中市の国有地払い下げをめぐる「森友学園」問題の追及を最優先し、北朝鮮による核・ミサイル開発への米国の対応をめぐって、わが国民の生命と財産が危機に瀕していることを正面から取り上げようとしない姿勢も国民の不信を招いている。「森友学園」問題でも民進党が頼ったのは週刊誌やマスコミ報道。共産党のように独自調査に基づく追及もほとんど見られなかった。
 
 

◆失われた支持:一部マスコミの疑獄報道も無力?

 
一部のマスコミは「森友学園」問題を首相夫人である安倍昭恵氏の関与も含めた重大疑獄であるかのように取り上げた。民進党など野党各党は声高に昭恵氏の証人喚問を要求し続けている。
 
しかし、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が4月15、16日に実施した世論調査で、民進党の政党支持率は前回(3月18、19日実施)に比べて1.8ポイント減の6.6%になり、昨年3月の結党以来、最低を記録した。
 
支持する政党を問うだけの簡単な設問への回答であり、蓮舫民進党が世論の支持を失っていることがストレートに表れている。
 
一方で、安倍内閣の支持率は疑獄報道にも関わらず、50~60%の高率を維持している。
 
民進党支持率が結党以来、最低を記録したことについて、野田佳彦幹事長(元首相)は「極めて残念。国民に申し訳ない。極めて苦しい時期だが、改めて国会対策、選挙対策に心して臨んでいきたい」と反省の弁を述べた。
 
だが、その後も民進党は説得力を欠いた対応を続けている。「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に関する実質審議が始まった4月17日の衆院法務委員会で、野党のトップバッターとして質問に立った民進党の山尾志桜里前政調会長は、「ぱらぱら発言」「そもそも発言」など安倍首相発言の揚げ足をとる質問を繰り返したあげく、「器が小さいんだよ!」と首相の人格批判まで行った。
 
民進党は委員長職権で開会が決まっていた5月2日の衆院法務委をボイコットし、法務省刑事局長の委員会出席を決めたことなど「強権的運営」を理由に鈴木淳司委員長解任決議案を提出したが、まるで駄々っ子のようであり、世論の共感は得られないだろう。
 
 

◆そして誰もいなくなる? 崩壊への一本道

 
民進党内に良識が残っているなら、蓮舫氏や野田氏ら執行部に対する批判が出てもおかしくない。むしろ出るのが当たり前だ。
 
その意味で、民進党が政治理念の全く異なる共産党との選挙協力に固執していることなどを理由に長島昭久元防衛副大臣が離党(4月25日に除籍処分)し、党内で憲法論議が事実上、封印されていることを理由に細野豪志元環境相が代表代行を辞任したのは自然な流れだ。
 
5月1日までに7月の東京都議選に民進党公認で出馬予定だった36人のうち14人、公認されていなかった民進党所属都議2人の計16人が離党届を提出したのも、「民進党所属では当選はおぼつかない」という判断に立脚したものだ。
 
党内では離党届を出した候補者にも推薦を出すことも検討されているようだ。「民進党全敗」を避けることで、党としての面目を保つ姑息な手段だ。
 
都議選の結果は次期衆院選に直結する。最大の支持母体である連合傘下労組の民進党離れが加速している状況を鑑みても、同党が政権交代可能な政党として復活する可能性は限りなく低い。
 
都議選で惨敗し、蓮舫氏が代表を辞任。後継代表は「解党的出直し」を掲げて出直そうとするものの、さきの参院選以来の共産党との共闘路線や、感情論的な政権批判路線を断ち切れないまま混乱、地方議員を含めて離党者が相次ぎ、次期衆院選で現在の社民党並みの勢力に転落する――。
 
これが想定される民進党崩壊のシナリオだ。安倍政権が続く限り、このシナリオに変化が出るとは思えない。
 
 
 
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關田伸雄(政治ジャーナリスト)

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