コラム

    • ワーカーズ・コレクティブ

    • 2017年12月19日2017:12:19:06:37:22
      • 片桐由喜
        • 小樽商科大学商学部 教授

去る10月、本学で日本社会保障法学会を開催した。子どものいる会員が学会に参加できるように、数年前から一時保育事業を実施している。今回も子ども1名の保育依頼があった。
 
開催校責任者として、安心して子供たちを預けることのできる業者を探さなくてはならない。そこで、本州に本社のある大手託児チェーン会社2社から見積もりを取った。保育者2名、9時間の稼働でA社は約20万円、B社は10万円である。子ども1人にこの金額・・・・・。
 
悩む中、小樽市内で一時保育をしている団体の代表に相談すると、当方は同じ条件で3万円とのことである。安かろう悪かろうかという疑念が表情に出ていたのか、その代表は私たちの組織はワーカーズ・コレクティブですからという。
 
ワーカーズ・コレクティブとは参加者が資金を出し合い、平等な立場で組織に参画し、運営方針や活動計画をたてて、事業を行う団体である。社長や部長がいない、つまりみんなが社長であり、社員である。事業内容は、地域に必要なサービスの提供であり、その対象の多くは社会的弱者(高齢者、児童、障害者、等)である。あるいは、地球環境を考えた事業も数多く展開している(ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパンより )。
 
利潤の追求をその存在意義とする営利法人とは異なり、ワーカーズ・コレクティブ組織の大きな特徴は成長や拡大を目的としていないことである。地域の中の小さな困りごとを、大きな負担を求めないで解決しよう、助けようというのが活動目的である。それゆえに、一時保育費用が、いわゆる格安なのである。
 
安かろう悪かろうでは決してない。現に、毎年、一時保育を利用する学会会員はこれまでの保育の中で一番、良かったと絶賛する。筆者は決してワーカーズ・コレクティブの回し者ではない。ただ、私が彼らの存在をほとんど知らなかったように、多くの方はこの組織を知らないのではと思って紹介する次第である。
 
現在、国も自治体も財政難である。私たちの財布の中も心もとない。このような状況下、地域に目を転じると、良質なサービスを低廉な費用で提供する団体がある。見栄えの良さや華やかさはないけれども、安心と優しさを感じる。
 
わかった風なことを言えば、経済低成長、人口減少の今、企業も成長と拡大の呪縛から解放される時期を見定めてほしいということか。
 
 
 
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片桐由喜(小樽商科大学商学部 教授)

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