コラム

    • 介護の外国人技能実習について

    • 2018年03月06日2018:03:06:05:58:40
      • 岡光序治
        • 会社経営、元厚生省勤務

2017年11月、外国人技能実習制度に介護職種が追加された。日本語能力についての条件が厳しいことなどから、昨年末までには「外国人技能実習機構」への実習計画の申請はゼロだった。
 
今年1月22日になって、15人の実習計画の申請があったことを厚生労働省が明らかにしたと報道された。第1陣は5月頃来日とみられ、原則2ヶ月の講習を経て国内の介護施設で働くことになる。
 
 

◆外国人が介護現場で働くルート

 

1つは、この技能実習制度。民間同士の契約。そのため、「外国人技能実習機構」が新設され、実習先への監視を強める。実習生の受け入れは国の認可を得た「監理団体」が担当。実習先から出された技能実習計画の認定や実習生の相談支援をする。実習先も、訪問系のサービス事業所を除外し、設立後3年以上たった施設に限定。実習生5人につき1人の介護福祉士などの資格を持った指導員が必置。常勤職員が30人以下の小規模施設は、総数の1割を受け入れの上限とした。
 
2つは、政府間の経済連携協定(EPA)。08年からインドネシア、09年からフィリピン、14年からベトナム。看護などを学んだ人が来日し、働きながら介護福祉士の資格取得を目指している。現在、2,000人程度。
 
3つは、留学生。昨年9月に入管難民法が改正され、在留資格に介護が加わり、日本の大学や専門学校で学んで介護福祉士の資格を取れば、国内でそのまま働けるようになった。留学生は約600人。この人数は増えると予想されている。
 
 

◆人手不足のあおり

 

外国人技能実習制度に介護職種が加えられた背景は、「技術移転による国際貢献」よりは介護人材不足にあるといえよう。25年には約38万人が足りなくなると試算されているように、現場の最大の課題は働き手の確保にある。
 
そもそも一般人は高い給与を求めて職場を移動する傾向にある。介護施設で働くすべての人に老人介護に対する特別な思入れを期待する方がおかしい。因みに、著者の住所近くに大型商業施設が設置されたが、その商業施設では人集めのためこれまでよりも格段に高い時給が提示された。他の商業施設はもちろん近隣の介護施設までもたちまちあおりを受け、同程度の時給レベルを要求されることになった。介護報酬の制約などから引上げに応じなければ、途端に介護施設から人は消えてしまう。
 
介護施設には配置基準遵守義務があり、技能実習生を配置基準にカウントできるというので、施設側はその受け入れを本気になって考え出したわけだ。
 
 

◆技能実習制度をめぐる現場の動向

 

著者が関わっている介護施設周辺での受け入れをめぐる動きを紹介したい。(1つの参考事例として掲げる。)
 
(1)相手国はベトナム。ハノイにある送り出し機関が音を上げているという。来日後の手取り額につき最低月額14万円を送り出しサイドが要求したところ、受け入れ予定の施設から11万円しか対応できないとの返事。この金額を前提に募集をかけたところ、応募者はゼロ。応募者が集まらないというケースは、今回が初めての由。
 
ハノイにおける事前教育などに他の職種の場合30万円あれば済むところを介護の場合は70万円もかかる。このような背景がからまっているようだ。
 
(2)一方、受け入れ側では、外国人には介護技術はもちろん日本の生活文化など広く教え、あわせ宿所の確保など日常生活の支援をしてあげなければならない状況の下で、同一賃金とは不公平だという現場の声も聞かれる。また、経営者サイドでは、低賃金労働という’魅力’は初めから存在せず、むしろ諸経費がかさみ割高なものになるであろうと受け止めているのが大方だ。
 
 

◆どう立ち向かうべきか

 

(1)外国人就労者に対する見方をはっきりさせる。日本における就労人口が絶対的に不足するなか、介護人材をいかに確保するかという観点から、見るべきと思う。つまり、外国人介護従事者を有力な助っ人、頼れるパートナーとして位置付ける。
 
(2)先端技術を活用して職場環境をイノベートする。AIソフトを開発し個人ごとの介護ニーズについて平素行っているサービスを蓄積・学習させ、個人の言動などの情報をウエアラブル端末などによって常時把握し、その情報からニーズを予測し、まずロボットを含む機器でサービスし、その上で「人でなければできない」範囲のサービスを従事者が心を込めて行う。人と機器、人と人のアライアンス(連合)の下でサービス提供する体制・組織にする。
 
組織作りに当たっては、提供すべきサービスとは何かをはっきりさせる。個々の利用者の課題探索に時間をかけ、アライアンスを組んで解決に当たる体制作りが肝要と思う。
 
(3)職員はすべてタブレット端末を個人ごとに持ち、情報などの入出力に用いる。職員間の情報のやり取りもこれで行う。入力に当たっては、手書きゼロを目指す。(=職員は、IT機器を駆使するベテラン情報処理者となる教育を継続して受ける。)
 
(4)職員間の介護に関する情報のやり取りや処理は、英語で行う。よく言われる日本語の壁は、全ての職員が英語を共通語として使うことでなくする。
 
人と人とのつながりが大切。一緒に仕事してお互いが実りある結果を出し続けることで結束が高まる。
 
(5)以上、介護という職業従事をステイタスに高めることによって介護人材不足を解消しようという提案である。
 
 
 
---
岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

コラムニスト一覧
月別アーカイブ