コラム

    • プラットフォームビジネス(PFB)考

    • 2018年10月16日2018:10:16:08:50:13
      • 中村十念
        • (株)日本医療総合研究所
        • 取締役社長

1.オスプレイ

 

例えばオスプレイである。
 
一機100億円もするという。しかしこれだけでは済まない。部品や運航用の資材、定期点検やメンテナンス費用などの追加費用が莫迦にならない。一機100億円を超すという。サービスを含めてこれらのほとんど全てをアメリカから購入することになる。
 
このように物を買うと、何でもかんでも付帯購入させる商売をプラットフォームビジネス(以下PFB)と言う。本体以外の費用がやたらと高いことを特徴とする。
 
車がこのビジネスアイデアの発祥らしいが、他には複写機などの事務用機器、携帯電話などがある。電動シェーバーやひげそり、プリンターなど家庭用のものもある。水槽など装飾展示品などにも広がってきている。
 
 

2.一帯一路

 

最近騒ぎになったことに、某銀行が絡んだサブリースやアパート経営など、不動産関係の事件がある。これもPFBの一種である。
 
私は原発のようなインフラ輸出も同じ発想のビジネスだと思っている。
 
その最たるものが、中国の一帯一路である。金を出して、物を作らせ、それに付帯して生まれる物やサービスなどあらゆるものを収益化していく。
 
PFBはいよいよ国家戦略にまで取り入れられるようになってきた。
 
 

3.医業経営とPFB

 

医業経営は従業員一人当たり粗利益が低い業種である。平均すると1,000万円程度である。
 
国民一人当たりGDPが低い国と同じで、財政は厳しい。
 
一方、労働集約度の高い業種でもあり、粗利益に占める人件費の割合は70%を超えるところが多い。
 
逆に言うと、減価償却費など物件費に廻せる財源は小さい。かつ、キャッシュの余裕もない。
 
従って経営者の目は、物の価格に向きやすい。機械の購入費用には注意するが、それに係わる周辺のコストからは目が逸れやすい。弱点である。
 
その弱点を業者につかれる。
 
医業経営でPFBが成立しやすいことになる。それに加えてICT化が進む世の中である。コンピュータ導入に対し、メーカーは情報格差操作型マーケティング手法を取ってくるであろうから、ますますPFBが跋扈することを怖れる。
 
コンピュータ関係では1円入札という派手なPFBの前例もあった。
 
 

4.レジスタンス

 
PFBは、はやり病である。止めようとしても止まらない。方法はレジスタンスしかない。知による備えしかない。備えあれば憂いも半分である。
 
備えの第一は「俯瞰力」である。
 
必要機能と調達機能の照合を行い、本体機器のみならず、消耗品、メンテナンス、保険などの一連の費用を頭に入れることである。わからぬことは、周囲や専門家に聞いて、情報装備を行うことである。
 
備えの第二は「経済的合理性」である。
 
合理性のエビデンスとして相見積りをとること。相見積りは、世間相場を知る上でも役に立つ。見積りをとったら、数字の根拠を業者にヒアリングする。一式という見積りは、それだけで怪しいと思った方が良い。工賃が一人一時間数万円で見積もられていることも珍しくない。
 
見積書が契約書代わりにされることもあるので、但し書や欄外の注記までよく目を通すことも大事である。
 
備えの第三は「交渉力」である。
 
交渉の極意は、敵の本意を知るということである。商いでいえば、どこに儲けの源があるかを見抜くことである。そこには値引きの財源あるので、相手も交渉に乗りやすい。
 
実は医療関係の現場の営業マンは、会計学のことなど知らない人が圧倒的である。上から言われるがまま動いている人も多い。従って値引きの話になると、職位が上の人と話さざるを得ないが、その人達も会計の知識は十分ではない。こちらに会計学の知識があった方が優位に立てる。
 
つまり交渉力の源泉は会計学であるということになる。
 
 
 
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中村十念(日本医療総合研究所 取締役社長)

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