コラム

    • 昭和・平成から令和へ:医療の課題

    • 2019年04月30日2019:04:30:00:55:55
      • 青柳俊
        • 先見創意の会 代表幹事

ほぼ30年続いた平成が幕を閉じ、新しい「令和」の時代がスタートする。
 
昭和の後半20年間を医師として大学で学び、研究・教育に携わり、平成30年間を町医者として過ごした者にとっては感慨深いものがある。
 
昭和における大学での研究生活では分子生物学の進歩、遺伝子工学の技術革新を目の当たりにした。平成における開業医生活の中では診断技術(超音波、CT、MRI、PETなど)の進歩、治療方法としては量子線治療、免疫療法、遺伝子治療などの普及を実感させられた。
 
昭和、平成の時代には公的皆保険制度が充実した結果、医療が「何時でも」「何処でも」「誰でも」享受できる「水や空気」と同じような存在になった。一方、少子・超高齢化が進行、人口構造の変化、都市への人口流入と周辺地域の過疎化などの社会構造の変化が一段と進み、医療需要と医療提供とのミスマッチが深刻になってきている。
 
平成12年にスタートした介護保険制度は高齢者処遇として機能しているが、少子化の流れは止められず、周産期医療や小児医療へのアクセスに課題が発生している。これらの変化は令和時代に入っても進行することが予測される。全体像を見据えた上で、それぞれの地域での改善策が求められる。
 
一方、医学・医療の進歩は令和の時代に入っても期待される。AI活用による診断・治療技術の進歩、再生医療の進歩などがその柱となるだろう。試験管培養組織・臓器による再生医療や人工臓器での再生医療による「サイボーグ」人間の誕生、AIロボットに問診を受けて、診察を受け、手術・治療を受ける時代が到来し 医療においても「SF」の世界が現実になるかもしれない。
 
昭和、平成の時代に医療に携わった者としては、人による人間的な医療が切り捨てられる可能性を危惧している。 
 
願わくば医療については、人間味の無い寒々しいだけの「冷和」の時代にはなって欲しくないものだ。
 
 
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青柳俊(先見創意の会 代表幹事)

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