コラム

    • 気になる話題二題

    • 2019年07月16日2019:07:16:05:47:17
      • 外岡立人
        • 医学博士、前小樽市保健所長

1.戦争責任

 

時代は昭和から平成、そして令和と変遷してきた。その変遷の過程で、過去に引き起こした大きな戦争の責任を果たした自信を我々は未だ持てない。
 
時と共に責任感が薄れ、結果的にその事実が隠蔽されるとしたなら、それは歴史に対する犯罪的行為となる。
 
先日、英国BBCが報じたニュースは衝撃だった。先の大戦の始まりに、インドネシアで日本の軍隊が行った豪州の捕虜達の虐殺事件。その中に含まれていた21人の看護師達が、殺害の前に兵士達から性的暴行を受けていた事実が、生存者の重たい口から証言されたのだ。
 
この衝撃的事件が今後どのように展開されるかは分からない。しかい、日本国内のメディアで報道されないことは、当事国の国民の一人として違和感を覚える。
 
我々は過去に国が犯した戦争犯罪の責任を引きずっている。それは決して敗戦国であるが故の罪としてだけではなく、普遍的倫理観からの咎としてでもある。
 
戦争責任を問われて戦犯として死刑や懲役に処せられた国の指導者達は多い。しかし戦争責任は一部の指導者達だけに課せられるものではないはずだ。
 
必死に阻止できなかった国民の多くも負うべきものである。今後国を背負う子供達にも、最低限の国の倫理観として伝えたい。
 
 

2.技能実習生を守ろう

 

先日、NHKの番組、“ノーナレ”で放送された、ベトナムからの女子技能実習生達が助けを求める映像は衝撃的だった。
 
朝7時過ぎから夜10時過ぎまで、縫製工場で過酷な労働を強いられている。低賃金で休みもほとんどない。
 
狭い宿舎に閉じ込められるように多数が生活している映像が、社長に見つからないようにスマートフォンから送られてきた。見つかると、帰国させるぞ、と脅かされる。
 
多額の借金を抱えて、送り出してくれた家族のもとに、彼女たちは簡単に帰ることは出来ないのだ。
 
技能実習という名目での、休みがほとんどない長時間単純労働。しかも低賃金。これを現代の奴隷と言うのは言い過ぎだろうか。
 
途上国のためにもっともらしい制度が日本には存在している。しかし実態は異なる。彼らの人権は守られていない。
 
こうした実情を、どれだけ政府や国政に参加している地域の議員達は知っているのだろうか。口先だけの国会での討論には飽きている。実態を把握して欲しい。
 
若者達は単なる外人労働者ではない。日本に技術を学びに来ているのである。
 
学ぶことを拒否し、労働だけを強要しているとしたなら、それは彼らに対する侮辱である。
 
 
 
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外岡立人(医学博士、前小樽市保健所長)

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