コラム

    • 永年ドライバーへの奨め(第4回/全6回)

    • 2019年08月06日2019:08:06:02:47:31
      • 大久保力
        • 自動車ジャーナリスト
        • 元レーシングドライバー、レジェンド レーシングドライバーズ クラブ 会長、日本自動車ジャーナリスト協会&日本外国特派員協会 所属

第3回からの続き)
 

◆安全走行テクニックを身につける――追突されないための最大の防御策は?

 

前回述べましたAEBに関連の車間距離にも大きく影響の追突事故は技術進歩と運転指導及び取締り強化で減少の傾向にあります。が、追突した、しまったではなく『追突されない』にはどうすれば良いか?の関心が高まっています。
 
特に自分は前車との車間距離に気をつけているものの、後続車がやたらと接近するのが気になるケースはしょっちゅうありますし、付きまとう相手の素性も解らない、自分が何か悪いのだろうか、不安や気味悪さもあります。
 
1970年代始め、S.スピルヴァーグ監督の〝激突〟という米国映画がありました。ハイウエイで速度の遅い巨大トラックを追い越した乗用車がトラック運転手に追い回される恐怖を描いたものです。
 
日本でも執拗なあおり運転を止めさせようと停車したところへ大型トラックが突っ込み、夫妻が死亡した悲惨な事故も、つい最近のことでした。こうなると事故ではなく犯罪ですが、これも先に述べましたようセカセカイライラの運転者が多いですから、突如〈あおり運転〉される側になるかもしれないのです。
 
従いまして、適法且つ路上のリズムを崩さない車間距離課題は単に追突されないためだけでなく、もっと悪質な事態にならない安全策であることを強く意識して頂きたいのであります。
 
では『追突されない』にはどうすれば良いか、です。一般的には追突した側=加害者、追突された側=被害者の構図であり、ぶつけた側に大きな責任があるとされます。だからといって、被害者に何の落ち度もない、加害者が一方的に悪いとばかり言ってはいられないケースも多いのです。
 
例えば、、、
 
◇高速道の中央車線を前車との距離は充分安全、速度も法定並み、この運転者は安全運転を自認して淡々と走行しています、そこへ近づいた後続の運転者から見れば「前の方はガラすきじゃねーか、何をモタモタ走ってんだー、左に寄れよー」になります。
 
◇また長い縦列走行で、前車と前々車の車間距離が開いたり狭まったり、不規則な走行。前方が大きく開いても発進しない、発進したら全加速で前々車に近づき急ブレーキで停まる、徐行するダラダラ運転。
 
◇高速、一般道、縦列問わず、急加速と急ブレーキの運転をよく見ますが、大きく空いた前車との距離を詰めようとアクセルペダルを強く踏んでしまい、上がりすぎた速度を急ブレーキする、要するに加減速の調整が下手ですから、やたらとブレーキランプがパカパカ点滅し、後車の運転者は物凄くイライラするものなのです。
 
◇また、いきなり右左折ウインカーを点滅、急制動して方向を変えるのもイラつかせるものなのです。
 
◇路上交通は道路構造、交通量により自然的にある一定の流れが作り出され、大方は法定速度+10キロ未満辺りが多いようですが、自分は法定速度を厳格に守っているのだ、とばかりの唯我独尊的運転などなど。
 
以上のような運転の車に後続する運転者はいい加減イライラするもので、何とか追い越したい衝動に駆られ、追い越すタイミングを逃さないために前車との車間が短くなってしまうのです。
 
必然的に前方で落下した障害物、数台前方の急停車などあれば後車に追突される比率は大きくなります。また、道路工事などで一時的に停車している列に並んでいる時にもバックミラーで常に後方を注視することです。
 
停車や徐行の列の後尾に着き、後方からの車があればハザード点灯や断続的にブレーキペダルを踏んでブレーキランプを点滅させるなど、停車している、超低速走行していることを執拗に知らせることです。
 
先に、車間距離不保持は重大な違反であることを述べましたが、仮に後続車との車間を空けていても、追い越そうとするタイミングを狙っている運転者は、いつでも猛加速出来る準備をしていますから、隙あらば瞬時に車間を縮めます。そのように、追突される危険性は常にあると言うことになります。
 
追突されるかもしれない不安は、自車の後方の状況を良く把握していないことから生じるのです。要するに、車室内外のバックミラーが有効に使われていないのですが、取り分けビギナードライバーは前方を見ることが精一杯ですから後方視界の把握に慣れるしかありません。
 
特に大型トラックなどは運転席が高く、遠くまで前方を見下ろせる視界ですから、後続車をイラつかせるような運転をしていないか、自分が注意するしかありません。また、後続車が自車を追い越そうとしている・追い越したい気配があれば、さっさと道を譲り追い越させることです。
 
後方車をイライラさせない運転&追い越させる度量が『追突されない』最大の防御策であるとともに〝追突されない運転は、あおり運転されない〟に通じるのです。
 
次回は、日本式AT運転操作の問題点と踏み間違えの解消法について解説します。
 
 
 
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大久保 力(自動車ジャーナリスト)
 
元レーシング ドライバー
レジェンド レーシングドライバーズ クラブ会長
日本自動車ジャーナリスト協会&日本外国特派員協会 所属

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