コラム

    • アメトラ

    • 2019年12月10日2019:12:10:09:00:58
      • 平沼直人
        • 弁護士、医学博士

◆ブルックス・ブラザーズ

 

今から40年前,私が中学生の時,青山通りに,まるでオードリー・ヘプバーンの映画“ティファニーで朝食を”に出てくるような店ができた。
それがブルックス・ブラザーズ (Brooks Brothers) の青山本店である。1818年,ニューヨークで創業された世界最古の紳士服販売店の世界進出第1号店であった。
 
高校,大学と店の前を通ると思った。
いつかオトナの男になったら,この店の顧客になってショーウィンドーに飾られたスーツを着よう。
 
司法修習生になってからは,イケてる男子を気取って,JUNの少しΛ(とが)ったスーツを着ていた。その頃には,一世を風靡したDCブランドは終焉を迎えつつあった。
 
ブルックスを着始めたのは,いつだろう。
いつの間にかオトナの男になれたのだろうか。
 
ブルックスの服は,気品と躍動感を宿している。
手の届く価格と合理精神がいい。
それがアメリカン・トラディショナル,アメトラだ。
ブルックスがノンアイロンのドレスシャツを世に問うたのは,1953年のことである。その先進性に驚かされる。
 
広く豪華な試着室に入り,お立ち台のようなものの上に立たされる。
「お裾は,如何なさいますか?」
「ダブルの4センチ幅,糸留めで」
 
 

◆ジョンストン&マーフィー

 
アメトラといえば,靴はリーガル。
そのリーガルが10年ほど前まで最上級ブランドとしてライセンス生産していたのが,ジョンストン&マーフィー (JOHNSTON & MURPHY) だった。
 
ジョンストン&マーフィーは,1850年に創業された。
アイビーリーグで愛され,リンカーン,ルーズベルトからケネディ,オバマ,トランプまで歴代大統領の足元を飾ってきた。
 
現在,日本では皇室御用達の老舗メーカー大塚製靴がライセンスを所有していて,比較的安価なビジネスラインを中心に生産・販売されているようだ。
ところが,先だって,偶然,アメリカ製のジョンストン&マーフィーが売られているのを見つけた。聞けば,大塚製靴がアメリカのジョンストン&マーフィーの工場に日本人の木型(ラスト)で発注したものだという。
一も二もなく手に入れた。
革底の靴は難しい。何度も雨でダメにしてしまった。今度こそ,気を付けよう。
 
 

◆タイメックス

 
アメトラに合わせる腕時計は何か?
ロレックスではないと思う。
 
かつてはアメリカでも時計が作られていた。
しかし,スイスや日本の時計に駆逐され,現在では,タイメックス (TIMEX) が唯一のアメリカンウォッチといってよい。
タイメックスは,1854年の創業に遡ることができ,ブランドとしては1950年に誕生した。
タイム誌とクリネックスティシューの合成語 (Time + Kleenex) というのがいかにもアメリカらしいが,“時間と何か” (time + x) のほうがカッコいい。
 
今,私はタイメックスのマーリンを愛用している。
1950年代半ば,その耐水性からマーリンと名付けられ,発売されるや一躍人気モデルとなった。
2017年,当時そのままに復刻版が登場し,2018年には,手巻きから自動巻きへ,ケースサイズも一回り大きくなった新型マーリンを表参道のTIMEX TOKYOで買い求めた。
見た目も値段も決して高級時計ではない。
けれども,アメトラの持つスマートさがある。
 
 
 
 
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平沼直人(弁護士,医学博士)

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