コラム

    • Sigfoxを用いたIoT機器の製作と活用

    • 2020年02月18日2020:02:18:05:56:57
      • 岡光序治
        • 会社経営、元厚生省勤務

モノがインターネットにつながるIoT時代において、世界規模では500億を超えるIoTデバイスが普及すると予測されている。
 
IoT向け通信の課題とニーズは、(1)省電力(電池寿命)、(2)簡便性(クイックスタート)、(3)コスト、(4)グローバルリーチ、といわれている。
 
こうしたニーズに対応すべく開発・提供が進められているのがLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるコンセプト――大量接続・低コスト・低消費電力――である。すでに、フランスなどではSigfox社により全土にLPWAのネットワークが構築され、米国などでもLoRa規格によるLPWAの導入が始まっている。
 
 

◆広島工業大学における取組み

 

筆者が関わっている広島工業大学では、Sigfoxのアンテナを設置し、そのネットワークを用いて、IoT機器を付加した水道メータのデータをインターネット経由で取得することを実現した(2018)。
 
仮に、これを各家庭に装着すると、使用流量が15分ごとに送信される。これによるメリットはいろいろ考えられる。例えば、一人暮らしの場合では、流量ゼロが幾日も続くと、長期不在か水道を使うことができない状態に放置されていることが分かる。使ってもいないのに、継続して流量が報告されるなら、漏水を疑うことができる。山間へき地、離島など計測担当者が通いにくい地域での計測が自動的になされ人手不足対策になる。(但し、懇意にしている自治体の首長に提案したところ、似たような提案があり比較検討する、との答え。そして、なしのつぶて)
 
懲りもしないで、次なる試みをした。
 
 

◆Sigfoxを用いたIoT機器の製作とシステム構築

 
電子デバイスに、湿温度・気圧センサー、人感センサーあるいは照度センサーを装着した。この機器から発信されるデータをThingSpeakで受信し、Matlab/Simulinkで演算し、その結果をThingSpeakを経由して、スマートフォンにデータを表示する。必要であれば、Twitterを用いて、データを送信する。
 
すなわち、電子デバイスから、回路、通信、データ処理、Web表示までの一貫システムを構築した。
 
 

◆何が分かるのか?

 
〇 機器を設置した部屋の不快指数がわかる。
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、1954年アメリカで提案された指標で、人体と外気との熱のやり取り(熱収支)に着目したもの。人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温 を取り入れた指標である。機器から得られたデータから、不快係数を表示。表示データから熱中症予防に繋ぐことができる。
 
〇 人感センサーから部屋に人がいるかいないかわかる。
照度センサーから明かりが点いているかいないか分かる。人がいないのに明かりが点いているなら、消すべき。エネルギーの浪費を防げる。
 
〇 例えば、病室の管理ができる。
夜間、人感センサーが不在を知らせれば、担当者が部屋に駆けつけ確認できる。照度センサーが明かりの点いていることを知らせるなら、寝ていないか、明かりを消し忘れか確認する。速度センサーを付けておけば、ヒトの急な移動が感知され、例えば、ベッドから落ちたようなケースもデータセンターにおいて察知でき、速やかな対応に繋ぐことができる。
部屋の快適温度・湿度をコントロールでき、エアコンの適切な稼働を操作できる。部屋の向きで、室内温度は異なる。季節、時間などを考慮し、向きに相応しい設定ができるようになる。電力消費の節約もでき、最大使用電力のコントロールも可能になり、電気代の節約が可能となる。
つまり、必要なデータが自動的に得られるようになると、制御が可能になる。
 
〇 GPSを装着すれば、位置確認ができる。
夜間徘徊など問題行動のある対象者に装着して置けば、見守りの手段となる。
実験施設では、送迎車に装着し、車の所在地確認に使い、利用者にとってより負担の少ないルート選択などにも使用している。
 
〇 この装置を社会に実装し、一定のエリアにおいて15分程度の間隔でこれらデータを取得すれば、まさに人にやさしい社会の実現につながると思う。
 
 
ささやかな、限られた空間における実験から、以上のような可能性を感じた次第である。
 
課題の一つは、社会実装はどうすればできるのか、である。電気代をはじめ負担の軽減を材料に利益誘導しかないのか?CO₂削減のような大目標に関連付けて政策として設定することができればいいのだが……。
 
なお、付言しておくと、Sigfox社は1国1代理店制度をとっており、日本の代理店は京セラである。このことが、その普及とどう関わるのか、考えてみる必要がある。
 
 
 
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岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

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