コラム

    • 地球システムのレジリアンスにかかる提案

    • 2020年06月16日2020:06:16:12:56:17
      • 岡光序治
        • 会社経営、元厚生省勤務

20世紀半ば以降、経済活動の加速は、地球システムが本来持っているレジリアンスに大きな負荷をかけ続け、その回復可能性が限界に達しつつあると指摘されている。
 
この指摘は正しいのではないだろうか。
 
現在、パンデミック状態をもたらしている新型コロナウイルスの出現も、もしかしたら、生物多様性と関わり、微生物の世界の系にも乱れが生じ、他のウイルスにおさえこまれていたこのウイルスがバランス秩序の変化により他のウイルスに打ち勝ち、突如、人間世界にまで拡散してきたのかもしれない。
 
地球システムの安定を支えてきた諸要素が失われつつあるか、アンバランスになりつつあるか、なにしろ重大な(好ましくない)変化が進行しているのは否定しがたい。
 
花粉を運ぶミツバチがいなくなり農作物ができないとか、北極圏の氷が溶け海面上昇とともに氷が減ることに伴い太陽光を反射する割合が減り太陽熱を一層吸収することによる氷の溶解のさらなる進行、オーストラリア等での高温、乾燥状態での自然発火による大規模な山火事、アマゾンにおける焼き畑による原生林(酸素の供給源)の喪失、世界各地での大雨と大水害の多発など異常事態の事例は枚挙にいとまがないほどである。
 
 

◆経済・社会システムの大転換が必要

 
地球システムの安定を支える主要な要素は、気候システム、生物多様性、土地利用、海洋,リンや窒素(栄養素)の循環などである。そして、現状は、これらの各要素について地球システムの安定のために超えてはならない限界値を超えたといわれている。
 
人間の活動が,地球システムを破壊し,結果として自らの手で地球をして人間が住めない惑星に追いやりつつあると言えそうである。
 
では、どうすべきか?
 
〇 化石燃料に依存したエネルギーシステムを転換し,脱炭素化を図る。
 
〇 2050年までに世界人口の70%が都市に住むと予想される予想されている。特に,人口爆発が続くアジア、アフリカで環境負荷の少ない都市を造れるかが課題となる。Compact, Connected and Resilient な都市を造る必要がある。
 
〇 Take-make-waste という直線的な生産・消費モデルを改め,環境負荷を増やさない食料システムを構築する。食料生産に伴う排出の循環型への転換、土壌劣化を招くような化学肥料の大量投与の禁止、農地拡大を目的に行う森林破壊の規制を行い、持続可能な土地利用への転換を図る。
 
〇 生産・流通・消費システムを循環型に転換する。
 
 

◆具体策はあるのか?

 
空気がいい例だが、誰のものでもなく、しかし、誰でも利用できる共有財産は、放っておくと濫用され、荒れ果ててしまう。
 
地球という共有財産を守るためには、思い切った策を講じるしかない。
 
 

◆参考例

 
2020年1月、米マイクロソフトCEO サティア・ナデラ氏は「カーボンネガディブ」宣言を発表。「2030年までにスコープ1~3のCO₂排出量を半分に削減し、排出量と同量以上のCO₂を除去してカーボンネガティブにする。」
 
現状は、それぞれのスコープ毎に以下の通り。
 
スコープ1 自社施設で化石燃料を使うことによる温室効果ガスの排出――2018年 7万
スコープ2 購入した電力や熱を使うことによる排出――300万トン
スコープ3 原材料の製造や製品の使用、物流などの排出――1,734万トン
 
対策は、次のごとし。
 
〇 25年までに データセンターやオフィスで使う電気をすべて再エネにする。
 
〇 30年までに 同社で使う車両を全て電気自動車にする。
 
〇 サプライチェーン全体に「炭素価格」を課す。炭素価格は、温室効果ガスの排出に課金して削減を促す。(社内炭素価格は、CO₂排出1トン当り、15ドル)
 
〇 10億ドルの基金設立、CO₂除去技術の開発に投資(バイオマス発電によるCO₂回収・貯留、大気中のCO₂の直接回収、植林や森林経営、光合成によってCO₂を吸収した草や木などを土に埋める土壌炭素隔離など)。
 
 

◆具体策の提案

 
1.各国政府が、サプライチェーン全体に「炭素税」を課す。全世界一律の税率とし、毎年、2分の1を国連に譲渡、マイクロソフト流の事業を全世界で優先順位の高い場所から展開する。
 
2.(1)人工衛星も含むデジタル技術を駆使し、全世界の監視を国連の責任で実施。地球システムのresilienceを破壊する行為の発見に努める。 (2)疑わしい地域に対する調査権と抵抗を排除する警察権を国連に付与。 (3)全世界の政府の支持のもと、国連が破壊活動を禁止する。
 
マイクロソフトでさえ始めている。地球を守るために智慧と権限を結集すべし! 夢物語にする余裕はもう無い。
 
 
 
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岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

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