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  • 情報のゲリマンダリング

    2019:10:04:05:18:09
  • 2019年10月04日

ゲリマンダリング(gerrymandering)、すなわち選挙において特定の政党や候補者に有利なように政治的な区割りをする行為は、形を変えて現在でも見受けられる。
 
今般、ヒューストン大学の Alexander J. Stewart 助教ら研究チームは、民主的な意思決定を妨げる新たな障害を特定。それを「情報のゲリマンダリング」(information gerrymandering)と名付けた。
 
情報のゲリマンダリングにおいて人々にバイアスを与えるのは、地理的な境界線ではなく、ソーシャルメディアへのアクセス状況等、ソーシャルネットワークの構造である。狂信者的な自動化ボットをネットワーク上に戦略的に配置することで、非民主的な意思決定を誘発可能という。2割程度のバイアスならば容易に生み出すことができる。たとえば、ある集団が2つの政党支持に均等に分かれているとき、情報のゲリマンダリングによって、それを60対40にできてしまう。
 
研究では、集団的意思決定の数学的モデルを基に、2,520人の被験者を対象としたソーシャルネットワーク実験を行ってその効果を確認。また、twitter やブログ圏、欧米の議会等の実例を用いて、情報のゲリマダリングによって集団的意思決定が影響を受けやすいことを明らかにしている。
 
「人は、読んだ内容ややり取りした人に基づいて意見を出したり、投票行動をしたりします。」上級著者を務めたヒューストン大学の Joshua B. Plotkin 教授は言う。「そして今日、多くの人がオンラインで読み書きしたり、それらの内容をシェアしたりしています。われわれが発見したのは、『フェイク・ニュース』がなくても集団的意思決定に強いバイアスが生じる可能性があるいうことです。」
 
また、「ソーシャルメディアがリベラル・デモクラシーの健全さに与える影響について、今こそ精査すべきではないでしょうか」と教授は提言する。
 
この研究は『Nature』に掲載された。
 
 
4-SEP-2019