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  • 企業の社会的無責任を報道しないメディア

    2020:03:27:23:21:44
  • 2020年03月27日

新聞・雑誌等の印刷媒体は、環境事犯や汚職、社会基準からの逸脱といった企業の不正行為について、一貫して自主独立した報道をしていない。代わりに、それらのメディアは、広告収入等の自社の利益に左右される。ケルン大学(ドイツ)の Marc Fischer 教授とティルブルフ大学(オランダ)の Samuel Stäbler 助教の研究が明らかにした。
 
研究では、5カ国(英、米、仏、独、メキシコ)における77の主要メディアを対象に、1,054件のCSI事件に対するメディア報道を精査した。CSIとは「企業の社会的無責任」(Corporate Social Irresponsibility)の略語である。
 
分析結果は議論を呼ぶ内容である。著者らによれば、報道の範囲が決して公平ではないからである。一般的に、不正行為を行った企業が有名ブランド企業であったり、外国企業であったりした場合は、調査対象の新聞や雑誌は頻回に報道する。しかし、例えばそれらのメディアが企業と広告の面で蜜月関係にあると、CSI事件に関する報道回数は1割未満まで著しく減少するのである。ただし、外国企業による自国での不正行為の場合、多くの新聞において、報道回数は2倍程度になる。また、保守系メディアに比べるとリベラル系メディアの方がCSIについて頻回に報道する傾向がある。また、メディア自身はこの歪みについてよく認識していないという。
 
「われわれの研究結果は、メディアが自称している自主独立(independent)という姿勢を疑問視するものです」と、Fischer 教授は言う。「メディアを運営する企業こそ、他社に要求する高い倫理基準を遵守していないことが示されています。」
 
この研究は『Journal of Marketing』に掲載された。
 
 
12-MAR-2020