筆者はHarvard School of Public Healthに客員研究員として留学をしていた期間中に、Harvard Business School のレジナ・ヘルツリンガー教授に約半年にわたり師事する機会を得た。教授の講義「Innovating in Health Care」は同大学のMBAコースで最も人気のある講座のひとつに選ばれており、ヘルスケアビジネス――特にヘルスケアベンチャービジネスに進む者の登竜門となっている。
講義は約5ヶ月にわたって、医療産業の概論、保険業界、病医院経営、バイオ製薬企業、医療機器、医療情報など、それぞれの分野の事例を、ハーバード流のケース・メソッド・スタディーと教授が開発した Six Forces Analysisの手法を用いて成功要因と失敗要因を分析し学んでいく。Six Forces Analysis とはヘルスケアビジネスのケースを「Structure」、「Financing」、「Consumer」、「Accountability」、「Technology」、「Public Policy」の6つの角度から分析する方法である。
ヘルツリンガー教授は医療経営論や医療ベンチャー論の世界的な権威であり、ハーバード大学経営大学院の長い歴史のなかで、初めての女性の終身専任教授として知られている。最近の著書である「Market-Driven Health Care (和訳タイトル:医療サービス市場の勝者)」と「Consumer-Driven Health Care (和訳タイトル:消費者が動かす医療サービス市場)」は時事問題のジャンルにおいてベストセラーとなった。