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「民主党は宣伝戦略より政策で存在アピールを」 関田 信雄
(掲載日 2007.01.23)
 1月21日投開票の宮崎県知事選で元タレントのそのまんま東氏が初当選した。既存政党への不信を象徴するできごとだ。不支持率が支持率を上回った安倍内閣もさることながら、元気がでない小沢民主党にも大きな責任がありそうだ。

 民主党は1月15日から16日にかけて党大会を開いた。今年4月の統一地方選、7月の参院選に向けて、党の結束と存在感をアピールするためのものだったが、実態はそうではなかった。

 直前に小沢一郎代表が政治資金で3億6500万円の土地・建物を購入した問題がマスコミに取り上げられたことについて説明を求める声も出た。だが、参加した地方代表らの胸には、安倍内閣の支持率が低下しているにもかかわらず、民主党の支持率が上昇しないことへの焦りが渦巻いていたようだ。

 「内閣支持率が低下しているのに民主党は横ばいだ。民主党もいまひとつ信頼できないという国民の判断だ」(北海道代表)

 また、中野寛成前衆院議長はテレビで放送中の民主党コマーシャルにかみついた。

 帆船で嵐の海に乗り出す小沢代表、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長。舵を操っていた小沢氏が突風で船の後方に飛ばされる。駆け付けて小沢氏を助け起こす菅、鳩山両氏。嵐は去り、3氏は拳を振り上げて「生活維新」をアピールする―というストーリー。嵐を乗り切る民主党の行動力や3氏によるトロイカ態勢の一体感を強調したもののようだ。

 しかし、「100人いれば100人が『なんだあれは』『税金(政党助成金)のむだ遣い』といっている」「(小沢氏が風に吹き飛ばされる場面は)昨年秋の入院騒ぎを思い出させた。力強さを出してほしい」という中野氏の指摘にうなづく参加者も多かったという。

 このCMについては、自民党の中川秀直幹事長も17日の自民党大会で「船長が舵を手放すような党に日本の未来を任せるわけにはいかない」と揶揄した。菅、鳩山両氏に助け起こされる瞬間、照れ笑いする小沢氏の表情に「やらせそのもの」「わざとらしさ」を感じる視聴者も多いようだ。

 ムードだけなら変えようもある。鳩山氏は「これから第2弾、第3弾と矢継ぎ早にCMをうっていく」と説明した。だが、民主党が「天下分け目の戦い」と位置付ける参院選対策もスムーズに行っていない。

 与党を過半数割れに追い込むことができるかどうかの鍵を握る29の1人改選区(1人区)で、推薦を含めて候補者が決まったのは19選挙区だけ。4月の道府県議選の候補者も目標より400人少ない529人にとどまっている。

 社民、国民新両党との野党共闘もギクシャクの連続だ。社民党は民主党が憲法改正の手続法である国民投票法案に賛成すれば共闘は組めないという強硬姿勢、国民新党も民主党が複数改選区で相談なしに2人目の候補者を擁立する動きに反発している。

 安倍政権は1月25日召集の通常国会で政権浮揚に向けて反転攻勢に出る構えを示している。教育再生法案や社会保険庁改革法案、公務員改革法案で、日教組や自治労など官公労組との一体ぶりをあぶり出す戦術だ。「日教組・自治労=民主党=抵抗勢力」という構図を明確にして「特定勢力と結びつく民主党に政権は委ねられない」と訴える方針だ。

 これに対し、民主党は「格差社会」批判を参院選対策のメインに据える考えだ。具体的戦術はこれからで、「負け組」を救済する臨時措置に関する法案を通常国会に提出するという。臨時的な措置で格差社会が解消されるなら、こんな結構なことはない。大いにやってほしいものだ。テレビコマーシャルなど宣伝戦略に走るより前に、有権者が政権を委ねられるような政策を提示して実現をはかる。そういう対応が今の民主党には求められているのではないのだろうか。
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