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コラム
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(掲載日 2008.06.24)

  後期高齢者医療制度が見直されることになったが、腑に落ちないのが、同時に、新たな診療報酬として登場した「後期高齢者終末期相談支援料」(以降、終末期相談支援料)のこと。患者の声もろくに聞かず、よくも、こんなひどい報酬を創設したものだ。

 厚生労働省の説明によると、患者や家族に対し、医療機関が終末期を迎えた患者の今後の医療について文書などで情報を提供すると、医療機関に対し、患者一人につき、1回200点の報酬を出すという。

 年金記録問題の“敵失”で勢いづいている民主党のように、終末期相談支援料を“婆捨て、爺捨て支援料”などと揶揄するつもりは毛頭ない。

 だが、国民には、終末期の意味さえ十分理解できていないにもかかわらず、医療機関が「1回2000円出せば、患者の死に至るプロセスなどを丁寧に説明します」というのは、おかしくないか?

 「回復の可能性がないなら、延命措置はして欲しくない」という声が増えていると厚生労働省やマスコミはしきりに喧伝する。本当か?終末期を迎えた患者から実際に聞き取り調査でも実施したのか?そこに国の政策的な意図は皆無なのか?

 (個人的な考えで、恐縮だが、私は延命措置を切望する。一秒でも二秒でも長く生きていたい。たとえ意識がなくなっても、金がいくらかかっても、最期まで生にこだわりたい…。これ以上、家族に迷惑をかけたくないなどと絶対に思わない…)

 終末期相談支援料の創設には、何が何でも医療費を削減したいという国の狙いと、利益を確保しておこうという医療関係団体のさもしい意図を感じる。

 いつものことだが、厚労省は終末期医療のコストを過剰に公表した上で、診療報酬や薬価を政策誘導してきた。

 今回もそうだ。回復の見込みのない患者にかかる医療費の削減が真の狙いであることは、厚労相の諮問機関である中医協のメンバーである日本医師会や健康保険組合などはもとより、公益代表の有識者だって百も承知。

 自分たちの政策や利益の誘導を優先し、様々な思いで人生を終えようとしてる患者の真意など少しも配慮されていない。

 「これ以上、治療を続けると、金がかかり、家族だけでなく、保険者や国に迷惑をかける。相談に乗るよ。2000円かかるけど」。これが医療機関のやることなのか。

 終末期医療に金をかけて、どこが悪い。病院経営や医療従事者の待遇が悪過ぎるというなら、改善策を考え、国民の理解してもらえ!

 保険財政が悪化しているなら、まず保険料引き上げや公費負担を引き上げろ!そして医療費が足らないというなら、患者と一緒になって与党や野党に医療費増額を真剣に考えさせろ!

 ただ、情報提供の名の下で、人生を終えようとしている患者や家族から金をせびり取ることはやめろ!

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