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コラム
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(掲載日 2008.08.26)

 低調ながらも、安定した成長を続けていた医療業界に、重大な環境変化が起こった。

 2002年3月を起点とする医療機関に支払われる医療費(以下医療機関医療費)の停滞である。

 医療機関医療費は、2005年の3月までは縮減が続き、それ以降しばらく回復傾向を見せたものの1年しか続かず、2006年4月以降再び停滞状況となった。(直近では若干伸びが観察される。)

 市場が停滞すれば、通常、経営の良し悪しの二極化が起こる。この二極化の影響をもろに受けたのが公立病院だ。公立病院は、経営責任を誰が負うのかあいまいなところが多い。

 市場が右肩上がりで伸びている時にはそれがさほど欠点と認識されない。ところが市場の停滞に巻き込まれると、意思決定が後手にまわり、経営の舵取り不能となる。

 公立病院が蟻の一穴となり、地域的医師不足や主要診療科の閉鎖等の医療崩壊が始まった。

 しかし医療崩壊の真の原因は、医療市場の停滞を背景にした「医療マネジメントの崩壊」に帰着するのではないかと考える。政府の医療政策面の展開上もマネジメント崩壊の認識がないと、単なるバラマキに終わり的はずれになりがちだ。

 しかし、この二極化の流れは、いずれ民間病院にも波及する。あるいは既に波及している。

 民間では「借りたお金は返さなければならない」とか「資金繰りがつかないと倒産する」という資本の論理が貫徹されるだけに、一旦負け組に入ると症状は公立病院よりきついかもしれない。

 それらの危機に陥らない秘策はないが、定石はあるようだ。まわりを見渡して見ると、以下の6点の存在が医療機関経営の定石としてまとめられるのではないかと考えている。

1.質と量の到達目標を示す「経営計画」 〜目標がないと動けない〜
2.翌月11日に出来上がる「月次試算表」  〜会計システムはリズムを作る〜
3.到達状況をチェックする「意思決定認識」  〜決めるが花〜
4.結果形成力のある「中核小集団」  〜無理を承知の実行力〜
5.予見・予防に秀でた「リスク管理体制」  〜リスクは顧客が教えてくれる〜
6.責任と報酬の体系  〜責任主義資金体系〜

 定石を一言でいえば「透明化」ということだ。最近まで「知らしむべからず、寄らしむべし」が医師の合言葉であったと皮肉る人もいるが、今や「門戸開放」こそトレンドだ。

 「透明化」が医療機関経営を進化させ、ステークホルダーからの信頼を勝ちとり、結局医療機関経営を救うことになると信じて疑わない。

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