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(掲載日 2009.03.03) |
初めまして。本コラム初参加の者です。よろしくお願いいたします。あえて、医師不足をテーマに選びました。
と言いますのも、仕事の関係で北海道にお邪魔することがありますが、首長さんをはじめ医療にかかわっておいでの方から異口同音に出るのは、医師不足と現実の対応の難しさです。
こうした状況を下敷きに、久しぶりで本会の主宰者でもいらっしゃる青柳先生に札幌でお会いする機会を得て本テーマを話題に供したところ、北海道は慢性的に医師不足と足下に言及、ご自身の取り組まれたご経験なども伺い、自分なりに考えたあげく、この場において意見を申し上げたくなったのであります。
北海道の医療事情に詳しい方からも、"北海道の医師不足対策"をお教えいただきました。ご存じのことと思いますが、順不同でその柱を羅列します。
@緊急臨時的医師派遣事業(道の単独事業:道医師会と病院協会が実施主体) A財団法人北海道地域医療振興財団(ドクターバンク推進) B北海道医療対策協議会(知事のもと医師派遣連絡調整など) C札幌医科大学地域医療支援センター(医師派遣の透明性維持のための学内委員会) D自治医科大学卒業医師派遣 E道職員医師の採用・派遣 F国の緊急臨時的医師派遣など
いずれも、医師を”僻地”に派遣しようとするものです。
このテーマを抱えてたまたまハワイにおいて、この地の医師不足対策の一端を垣間見ることができました。
”The doctor is in-online”=ウエッブカメラ装備のコンピューターで即時、フェイストウフェイスでコンサルテーションを受けるというもので、Hawaii Medical Service Associationが実施しようとしています。
同じような試みはすでにありますが、州全体をカバーする試みはこれが初めてのようで、いささかの関心を引いているようです。
州政府の医療部門のガイドラインでは、単にオンライン上での質問とコンサルに基づく処方箋発行を含む処置はケアとして受け入れうる基準に達していないという見解ですが、ハワイの立法府は2006年に’telehealth service’は報酬の対象になり得る旨の法律を成立させています。
離島などの僻地において効果的で迅速なヘルスケアは極めて重要というのが立法化の理由のようです。このプランは、24時間いつでもウエッブ上の医師に気軽に、手軽に、すぐにアクセスできアドバイスや指示を受けうるというもので、accessibilityを強化するものと位置づけられているようです。
利用者は10分間で10ドル支払い、医師は患者当たり25ドルから30ドル受け取るようです。
要は、適時・適切に個々の患者・患者予備軍が自分に必要な医療を手にできればいいわけで、あえて言えば、必要とするものが手に入ればいいので直ちに身近にいつも医師がいることが不可欠なわけではない、と言えるのではないでしょうか。
そこでいくつかの提案を述べさせていただきます。
1.国民の主たる疾患の初期段階での取り組み(対処方法)モデルを作成・普及。これにはそれぞれの疾患に関する予防医学情報も含まれると望ましい。
2.患者・患者予備軍は定期健診で自分の身体・疾病傾向をあらかじめ承知。この身体情報については、Web doctorも共有。
3.利用者は定期的にモデルに基づいて自らがチェック(チェック方法についても専門的な見地からの指導が与えられることが望まれる)。変調に気づいたらモデル上の取り組みを試み、かつ、Web doctorに相談。なお、利用者は、Web doctorをあらかじめ選定。
4.1のモデルの提供に当たっては、個々の疾患ごとの取り組みの標準化が必要。日医・日本医学会の取り組みを一層進め、医師との連携を前提に素人にも理解でき、医療提供側にも受け入れられる内容のものとする。その上で、信頼できるサイトを立ち上げる。(コマーシャル的なサイトは排除)
5.情報格差を作らないように、パソコン利用の教育と普及を図る。(インドでは2千円のパソコンを作り国の隅々まで普及を進めるとか。我が国も負けておられない。地デジへの切り替えを契機にテレビを利用してこうした情報を受け取れるようにする、パソコンにある種のカメラを接続するなど、方法はある。)
6.地域中核病院や拠点に配置される診療所に医学部旧医局に相当する組織からローテーションで医師を派遣。上述したような既存の公的な派遣ルートに乗せる。
7.旧医局に相当する組織とは、すでにある医学部医局ごとに研究NPO法人を設立、NPOの責任者(=教授)がその組織内の決裁で集金し医局員に研究費を支出できることについて大学・独立行政法人と契約(偏らない、理由の明確な方面からの集金(集金方法などを公的に決めることも可)、公平で研究促進的な配分及び配分状況と成果の公表が義務付けられたもの)
8.派遣医師の支援策の確立。すなわち、期間限定・引継ぎ方法の明確化、派遣先での「研究テーマ」をあらかじめ研究NPO法人と協議・決定、取り扱いに窮した個別ケースについて大学から学術的示唆を受けられる態勢、定期的に大学から専門家が来てケースメソッドの実施など。
以上、見当違いのことも多いかと存じます。許されるならば、この場において、皆様からご批判や追加のご意見などをいただき提案を積み重ね実現可能な政策に組み立て上げることができればと願っています。
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