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コラム
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(掲載日 2009.03.17)

 「ホップ、ステップ、肉離れ」という言葉がある。永田町で民主党を揶揄する表現だ。上昇気流に乗り始めたと思った途端に、自らの失策で墜落するという意味だ。

 菅直人氏は年金未納問題、前原誠司氏は偽メール事件でそれぞれ失脚、小沢一郎氏は西松建設からの不正献金問題で自らの進退を問われている。

 菅氏の場合は市役所の説明をしっかり聞かなかったためのミス、前原氏は第3者の偽造メールを十分な検証もせずに信じてしまったことが原因とされる。

 だが、小沢氏のケースは政治資金規正法の抜け道を使った悪質なものだ。

 逮捕された公設第1秘書は容疑を否認しているようだが、2億とも3億ともいわれる献金をどこの誰だかわからない人間・団体から受け取ることは常識的にあり得ない。献金の出所が西松建設だと知らなかったという言い訳はとても通用しない。

 小沢氏の“金権体質”はかねてからとりざたされてきた。政治資金集めもその使い方も伝説になりつつある田中角栄元首相の秘蔵っ子であり、近隣の某独裁国家との癒着まで云々された金丸信元自民党副総裁にかわいがられたことが、小沢氏のダーティーなイメージを助長している。

 西松献金問題で検察の捜査が小沢氏本人まで及ぶかどうかはわからない。ただ、小沢氏は献金について法律上、何の問題もないとしながらも、必要があれば検察の任意の事情聴取にも応じる姿勢を示している。

 逮捕された秘書が政治資金規正法違反で起訴された場合、小沢氏の監督責任を問う声は政治的にも大きくなる。秘書の供述によっては小沢氏自身が法律的に追い込まれる可能性も否定しきれない。

 現時点では衆院選対策を最重要視して小沢氏の代表続投を受け入れている民主党も、そうなれば一気に小沢降ろしに走ることになる。

 「ホップ、ステップ、肉離れ」の再演である。

 この際、国民から見放された麻生太郎首相も同時期に自民党総裁を退き、自民、民主両党が同時期に総裁・代表選を実施して新たなリーダーを選び、そのまま衆院解散・総選挙に突入するといったシナリオもないわけではない。

 しかし、それが本当に国民のためになるのか疑問は残る。米国発の世界恐慌は外需に頼る日本を直撃しており、派遣切りにとどまらず、正社員の希望退職、賃金カット、レイオフ、工場閉鎖、挙句の果ては企業倒産−と国民生活は苦しくなる一方だ。

 この局面で政治に何ができるのかという冷ややかな見方もある。とはいえ、政治が何もせずに、政権争奪戦に没頭していていいわけはない。

 小沢氏が衆院選対策の中で強調してきた「国民生活が一番」を貫くのであれば、自らの決断で、できるだけ早期に代表を辞任し、民主党の世代交代とイメージ刷新をはかることが必要ではないのか。

 常に政治の中枢を歩んできた小沢氏の大英断を期待したい。
 
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