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コラム
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(掲載日 2009.10.13)

 衆院選の結果を見ての感想をあえて述べます。

 民主党の目指すところは、「トリクル・ダウン理論」(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという理論)からの方向転換、だと思います。富める者には応分の負担を課し、生活者の暮らしを直接支えるところに再分配しようということではないでしょうか。

 「国民生活が第一」といい、生活者の家計の所得を増やす施策を打ち出しているからです。

 曰く、子ども手当、年金課税の見直し(平成16年度税制改正により老年者控除の廃止と公的年金等控除の見直しが行われたが、改正以前の状態に戻し、使えるお金を増やす)、低所得者に対する生活支援として「給付付き税額控除の導入」など。

 また、政策立案及びその後の業界調整の仕組みを変えようとしています。

 従来、族議員中心の政権政党に支えられた官僚が中心になって政策を立案し、それに沿って立法、予算編成が行われ、出来上がった法令の「遵守」を企業に強いてきた。その上で、政治家が水面下で関与しながら所轄官庁による不透明な業界調整が行われ、結果、既得権益の安定装置として機能させてきた。だから、いくら参入障壁が緩和されても競争は閉じられたものにとどまり、無駄遣いが続いた、ということになる。

 そうした関係を「開かれた透明で公正な市民主導の社会」に転換しようと民主党は主張している。「政治」「官庁」「企業」の関係について、企業や消費者から直接のルートで情報提供(提案)を行い、それらを政治主導で調整し政策の立法に反映させる構図に変えようとしていると思われます。そこでの課題は、「無駄遣いの徹底排除」と「競争の質を高めること」を「政治主導(官僚主義の打破)」で行うことです。この課題が達成できるかどうかです。

 もう一つ申し上げたいのは、今回の選挙は本当に深い政策論争でがっぷり四つに組合って力相撲で戦われたものではなかったのではないか、ということです。

 国民は、政権政党であり続けた自民党に不況で生活が苦しい、豊かでないと不満を持ち、変化を、自民党議員に「自己構造改革」を求めただけなのではないか。誰でもいいから、欲しい欲しいとねだっているだけのように思えてならない。

 そうであるなら、変わらなければならないのは国民の方。かってケネディ米大統領が言ったように、自分が国のために何ができるか、国のために何かをしようと自己変革しなければならないはず。

 日本人は、何を獲得することが、何を目的とすることが真の意味での利益であり幸福であるかを自分で選択する力を持っていないのではないか。他人から何を言われても、よし!そのために生きるぞという勇気も智慧も持ち合わせていないかのように見えてならない。

 日本人に自己変革を促す環境を整えることが政治の一番大きな課題ではないだろうか。

 ものが溢れかえっている今の世で、アメリカ化、画一化が嫌われ始めているこの兆しを大きく育て、自己発見を促し、横並びで何かを求める必要はなく自分は自分と自信を持たせ、そして、自己実現のための自らの努力を応援する仕掛けが必要なのではないか。こうなってはじめて、”地方”が育つはず。

 皆様のお考えをお聞かせください。
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