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コラム
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(掲載日 2009.12.15)

 北海道内の国立大学が、今後、事務用品にかかる経費節減のため、物品の共同購入をすすめる計画を持っていると先日の会議で報告された。大学が消費する紙類、コピー機等のトナーなどは相当な量であり、これを全国規模の量販店に一括発注すれば、かなりの低価格で仕入れ可能であるという。

 どこの大学も財政状況は厳しく、知恵を絞っての経費節約作戦である。国からの交付金と学生が支払う授業料で運営される国立大学が、その財源を効率的に無駄なく使うことは、当然のことでもある。

 しかし、その会議に同席していた学外関係者で地元小樽の経済人が、以下の様な発言をした。すなわち、そのような購入方式を実施するならば、これまで大学に物品納入を担ってきた地元の商店は、その役割を奪われ大きな経済的損失に直面する、たしかに、地元商店が提示する価格は、量販店に比べて割高ではある、しかし、地域社会の中で、協力を得ている大学、かつ、経済的影響力の大きい大学が、安いだけで購入店を選定し、地元商店との共存を図ろうとしないのはいかがなものか、というものである。

 ここ数年、「産学連携」が唱えられ、ハイレベルでは大学とIT企業とのスーパーコンピューター開発、身近なところでは、地元商店との共同商品開発などがあり、多くの大学が酒や菓子類などを地元メーカーの協力を得て製作販売している。本学の場合は日本酒と、その過程でできる酒粕を利用した酒まんじゅうがある。高度先進事業は別にして、上記のようなグッズ販売は、大きな利益を上げる事業ではなく、大学のイメージアップや「産学連携」をしていることの実績として企業側にお願いしているのが実情であろう。

 また、地方にある大学は国公立・私立を問わず、いろいろな場面で地元経済界に支援協力を求め、少なからず快諾を得ている。加えて、学生もまた、地域社会に助けられ守られている。たとえば、あるふとん店では、不要になったがまだ使える布団を、合宿の多い体育会系部活に譲ってくださる。南国から来た留学生へと、コートやセーターなどを毎年届けてくれる市民、空き家の一軒家を無償で学生や留学生に貸してくださる篤志家もいる。

 このように地方にある大学は、いろいろな場面で地元の皆さんから助けられている。これに応える方法は、いくつもある。その要の一つが地元商店を利用し、経済活性化の一助となることといえるだろう。経済活動が循環し、地域経済が発展することは、マチを元気にし、その元気が回りまわって再び大学の活力の源となるのである。

 もっとも、この理は大学だけに限らない。地元の商店で買える食品、日用品までも、隣の大きな町へ行って買い物をする、さらにはインターネットを通して購入するなどの消費行動が一般的になっている。これが地域経済を疲弊・破綻させ、めぐりめぐって、昨今に言われる「買い物難民」を生み出している。

 市場の競争が商品の向上、低価格販売を実現させたことは事実であり、消費者には好都合である。地元商店しか利用できないとなれば、それに甘え、また奇禍として、高い値段で物を販売する心無い商人も現れてくるだろう。このような弊害は、もちろん、防ぐべきである。

 経済的状況の厳しい今日こそ、大学のみならず住民達は、地元経済との共存共栄を図るような消費行動が求められるのではないだろうか。そして、その成果を地域社会に再び還元する地域経済人の心意気を期待したい。
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