先見創意の会 (株)日本医療総合研究所 経営相談
MENU
 
コラム
今週のテーマ
(掲載日 2009.12.28)


 「100年に一度」といわれる世界的な大不況や日本の政権交代など、激動の2009年が終わり新たな年を迎えるが、新年の日本経済は引き続き厳しい状況が予想される。

 ■新政権の経済政策

 鳩山政権は発足早々に、雇用関連予算やエコポイントなどの中断できない予算を除き、前政権が景気対策として策定し執行していた09年度1次補正予算を、基本的には執行停止にした。

 その後、鳩山政権は「デフレ宣言」を出す一方で、急激な「円高」、「株価下落」による更なる景気悪化への懸念から、12月に09年度の2次補正予算を策定した。ただ、景気対策の詳細は明らかではないものの、民間の支出に対する支援などが中心になっているため、景気対策予算が全額消化される可能性は低い。

 また、即効性が期待される5000億円の地方公共事業は、金額が少ないだけではなく、国会での予算成立が年明けになることなどから、実施時期が10年度にズレ込む可能性が高い。

 ■2次補正予算の歳出規模

 09年度2次補正予算の歳出規模は、経済対策の歳出が7.2兆円であるにもかかわらず、従来の景気対策費の振り替えなどでまかなうため、僅か846億円と発表された。つまり2次補正予算の景気対策を全て実施するとしても、09年度は前政権の予算に846億円追加するだけということになるようだ。

 また政府は、10年度本予算を「厳しい事業仕分け=査定」により、最終的には当初見込まれていた95兆円を92兆円程度に抑制する意向である。

 ■財政事情は悪いが・・・

 日本の財政事情は最悪であり、政府は緊縮財政に努め財政再建を図るのが筋だ。ただ今回のように、「100年に一度」の未曾有の大不況で、民間の需要が極端に縮んでいるときには、民需が回復するまで政府が民間に代わって需要(歳出)しなければならない。

 米国など海外では景気回復の兆しが明らかになっても、しつこいくらいに景気対策を打ち続けている。未曾有の大不況の場合、少な過ぎたり収束時期が早すぎる景気対策は景気悪化を長引かせ、取り返しがつかない事態になってしまうことを、各国政府は1930年代の大不況や日本のバブル崩壊後の政策の失敗から学んでいるからである。

 ■新年の景気

 09年度に追加で実施される景気対策の内容が不十分であり、10年度予算の規模が09年度予算総額の102.6兆円よりも、かなり小さくなる可能性が高いことを考えると、新年の日本経済は必ずしも順調に回復しないことが予想される。したがって「デフレ」が解消する可能性もかなり低いだろう。

 ただ、海外の景気は各国政府の景気対策が奏功し、今後も順調に回復が見込まれることから、輸出は日本経済の下支えになるだろう。

 ■新年の株価

 こうした景気見通しを前提にすると、日本の株価は必ずしも順調に推移するとは考えにくい。ただ、日本でも既に景気は底打ちしており、鳩山政権の実効性に欠ける景気対策については、株価にほぼ織込まれていると考えられる。

 したがって新年の日本株は、堅調とは言えないまでも底割れする可能性は低いのではないか。
javascriptの使用をonにしてリロードしてください。
コラムニスト一覧
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.