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コラム
今週のテーマ
(掲載日 2010.03.16)

 平成22年度予算案は衆院を通過、年度内成立が確定し、最悪の事態は避けられた。しかし、参院予算委員会審議の中心も衆院同様、「政治とカネ」で、連日、「国民生活」そっちのけの政治ショーが展開されている。守る側の民主党も攻める側の自民党もどっちもどっちで、「何をやっているんだ」という有権者の政治不信は高まるばかり。「いっそのこと…」という声も広がり始めている。

 「政治とカネ」は今に始まったことではない。権力があれば、それにすり寄って自分たちに利益を誘導しようとする輩が必ずおり、その見返りや前払いとしてカネが介在する事例はいつの時代でもあった。

 事件が発覚すれば、当事者の進退が問われ、それと並行して「政治改革」なるものの必要性が叫ばれる。だが、政治家が「聖人」にならない限り、制度をいくら厳しくしても腐敗はなくならず、ほとぼりが冷めると同じような事件が再発する。

 今国会で追及されている鳩山由紀夫首相の実母からの“子ども手当”問題は資産家である鳩山家特有のものだが、小沢一郎民主党幹事長の政治資金管理団体による政治資金規正法違反事件や、北海道教職員組合から小林千代美民主党衆院議員陣営への不正献金事件は、いずれも“いつか来た道”であり、金額の大小や逮捕者が出たか出なかったかの違いはあるが、以前にも同じような問題が指摘されてきた。リクルート事件をきっかけに選挙制度や政治資金制度が順次、「改革」されたが、その裏をかく手法で行われてきたことに司法の手が入ったにすぎない。

 自民党はここぞとばかりに、それぞれの疑惑を追及、鳩山首相の実母や小沢氏本人の証人喚問要求を突きつけて鳩山政権のイメージダウンを図っている。予算案の衆院通過に絡んで、証人喚問が実現されないことを理由に審議拒否という強行手段に出たが、不発に終わり、党内から谷垣禎一総裁や大島理森幹事長ら執行部の責任を問う声が高まっている。

 マスコミ各社の世論調査をみると、内閣支持率、民主党支持率は急速に低下しており、その意味では自民党の戦術は成功したといえるが、その自民党の支持率もまた一向に上昇する気配はない。有権者が政治の現状に強い閉塞感を抱いていることの表れだ。自民党政治に三行半を突きつけ、民主党に政治刷新を託したものの、期待はずれの状態が続き、「どうしようもない」とあきれている有権者の顔が浮かんでくる。

 そういう状況の中で、渡辺喜美氏が率いるみんなの党は少しずつ支持率を伸ばしてきている。徹底した公務員制度改革を唯一の旗印にしたシングルイシュー政党ではあったが、民主党のようなスキャンダルも迷走もなく、自民党のような無様さもない。ろくに議員もいない政党が有権者の注目を集めている現状を民主、自民両党はどう考えているのだろうか。

 お勧めは政界再編。日米同盟、外国人への地方参政権付与、選択的夫婦別姓、郵政民営化見直し…争点はいくらでもある。この際、与野党の枠をすべて取り払って政界再編をしてはいかがか?

 このままの状態が続けば、国民の政治への不信は際限なく広がるだけだ。

 民主、自民両党のどちらにつくかで苦悩する各種団体にとっても、政界再編は自らの政治的存在意義を問い直す絶好のチャンスになるに違いない。
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