オランダは米オレゴン州、ベルギーと並んで医師による末期患者の自殺幇助(安楽死)が合法化されている数少ない国のひとつ。オランダのアムステルダム自由大学附属医療センターはこのほど、国内の一般診療医を対象に、自殺幇助がどのぐらいの割合で実施されているかの実態調査を行なった。それによると、過去1年間で、自殺幇助を求めた患者のうち44%が承認を得て、安楽死したという。
自殺幇助が承認される前、もしくは、実行される前に患者が死亡したケースがそれぞれ13%、患者が希望を撤回したケースが13%あった。また、12%については医師が実行を拒否したという。患者が安楽死を求める理由としては、「無駄な苦しみ」「尊厳の喪失」「弱体化」などの回答が多かったという。
アンケートの調査チームによれば、自殺幇助の承認を出すかどうかの判断が規定条件に沿っていたことも確認できたという。しかし、合法化には慎重な見方が多い。米ミネソタ大学ロースクールのウォルフ博士は、「オランダは20年の議論を経て、医師による自殺幇助を合法化するに至ったが、成功例といっていいかどうかは不明だ。また、そもそも、末期患者の安楽死を管理できるのかという問題もある」と強調した。
アンケートは、同医療センターのヤンセン・ヴァンダーヴェイド氏のチームが実施した。対象は、国内22の一般診療区域のうち18区域の一般診療医。回答者数は3614人(回答率は60%)。実施に当たっては、王立オランダ医師会とオランダの健康・福祉・スポーツ省の協力を得た。また、アンケートの結果は、米国医師会の「Archives of Internal Medicine」(2005年8月22日号)に掲載された。
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