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海外トピックス
 英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。

掲載日: 2005.08.12
安楽死についての実態調査−アムステルダム自由大学附属医療センター
 オランダは米オレゴン州、ベルギーと並んで医師による末期患者の自殺幇助(安楽死)が合法化されている数少ない国のひとつ。オランダのアムステルダム自由大学附属医療センターはこのほど、国内の一般診療医を対象に、自殺幇助がどのぐらいの割合で実施されているかの実態調査を行なった。それによると、過去1年間で、自殺幇助を求めた患者のうち44%が承認を得て、安楽死したという。

 自殺幇助が承認される前、もしくは、実行される前に患者が死亡したケースがそれぞれ13%、患者が希望を撤回したケースが13%あった。また、12%については医師が実行を拒否したという。患者が安楽死を求める理由としては、「無駄な苦しみ」「尊厳の喪失」「弱体化」などの回答が多かったという。

 アンケートの調査チームによれば、自殺幇助の承認を出すかどうかの判断が規定条件に沿っていたことも確認できたという。しかし、合法化には慎重な見方が多い。米ミネソタ大学ロースクールのウォルフ博士は、「オランダは20年の議論を経て、医師による自殺幇助を合法化するに至ったが、成功例といっていいかどうかは不明だ。また、そもそも、末期患者の安楽死を管理できるのかという問題もある」と強調した。

 アンケートは、同医療センターのヤンセン・ヴァンダーヴェイド氏のチームが実施した。対象は、国内22の一般診療区域のうち18区域の一般診療医。回答者数は3614人(回答率は60%)。実施に当たっては、王立オランダ医師会とオランダの健康・福祉・スポーツ省の協力を得た。また、アンケートの結果は、米国医師会の「Archives of Internal Medicine」(2005年8月22日号)に掲載された。
First released 08 August 2005 @
心臓病治療薬の効果に男女格差
 欧州の心肺疾患専門誌「European Heart Journal」は、男性に効果のある心臓疾患治療薬や治療方法が必ずしも女性に有効ではなく、副作用を引き起こす場合もあるとの調査報告を掲載した。

 報告を発表したのは、独ベルリン・フンボルト大学附属シャリテ病院のヴェレナ・スタングル教授。スタングル教授は、治療薬や治療法で男女差がある事例として、(1)ACE阻害薬を服用して咳き込む確率が女性は男性の倍である、(2)アスピリンが女性の心臓発作の一次予防に効果がない場合があること――などを挙げた。

  男女差の原因として、「臨床試験の被験者に女性が少なく、ホルモンの働きなど女性の体質に合わせた治療薬や治療方法を確立できていないためだ」と指摘。そのうえで、臨床試験の被験者に、より多くの女性を募り、女性に適した治療薬や治療方法の有効性を確かめる必要がある、と強調した。
First released 01 August 2005 @
卒中予防には運動が有効−フィンランドで5万人を追跡調査
 フィンランドの国立公衆衛生機関の研究チームは、約5万人の健康状態を19年にわたって追跡し、普段の生活の中で体を動かしている人ほど、卒中を起こす確率が低いとする調査結果を発表した。

 調査は、25〜64歳のフィンランド人47721人を対象に実施。調査開始時点では、これらの人々に冠状動脈に関係する疾患、心臓病、卒中、癌などの病歴がないことを確認。喫煙の有無や運動量、生活様式などの回答を得て、19年後に再調査した。その結果、47721人のうち2863人が卒中を起こしていたこと、そして運動が多い人ほどその確率が低いことがわかったという。

 ランニングや水泳など激しい運動を1週間に3時間以上している人の場合は、ほとんど体を動かさない人より卒中を起こす確率が26%低かった。また、散歩やサイクリング、簡単なガーデニングなど1週間で4時間強の適度な運動をしている人は、ほとんど体を動かさない人より確率が14%低かったという。

  研究チームを率いたガン・フー博士は、「通勤のために歩いたり、自転車に乗るだけでもリスクは抑えられる。例えば、通勤時間の1〜29分、徒歩などで体を動すだけで8%も確率を低くすることができる。パソコンの利用で体を動かす時間が少なくなっているが、適度な運動を常に心がけることが大切だろう」と述べた。
First released 04 August 2005 @
インフルエンザの感染抑止をシミュレーション分析
 米科学専門誌サイエンスは2005年8月5日号で、鳥インフルエンザがタイの地方都市で発生した場合、感染がどのぐらいの規模で進むかをシミュレーション分析した結果を報じた。

 分析のモデルとなったのはタイのナンロン地域。ナンロンの人口を50万人と仮定して、ウイルスの再生がどの程度の勢いで進むのか、ウイルスにかかった人が日常生活の中で、どのぐらいの範囲の人々に接触し、その結果、感染する人の数はどのぐらいに上るのか―などを様々な仮定を組み合わせて分析した。

 その結果、どういったケースにおいても、複数の種類の予防策を組み合わせることが、感染の拡散を抑えるもっとも有効な方法である可能性が高いということがわかったという。組み合わせる予防策としては、既存のワクチンの予防接種、そして、抗ウイルス剤の投与や検疫強化などが挙げられた。

 早い段階でこうした予防策が採られていれば、感染が急速に広範囲にわたって広がるのを抑えることができ、新しく効果のあるワクチンを開発するための時間を稼ぐことができる、としている。
関連サイト >> http://www.aaas.org/news/releases/2005/0803scipak.shtml
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