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海外トピックス
 英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.08.26
科学捜査法、法医学のオンライン教育プログラムが開講へ−英米豪の3大
 英エディンバラ大学は、米フロリダ大学、豪キャンベラ大学と共同で、インターネットを通じて、科学捜査法と法医学に関する知識や技術を総合的に教育する修士課程コースを開講する。開講するのは、医師または歯科医の資格保持者向けの法医学修士課程と、理数系学部出身者を対象にした科学捜査法修士課程の2種類。双方とも、2006年1月からスタートする。

 民族虐殺やテロ、自然災害、薬物中毒問題、幼児虐待など、犠牲者を伴う事件の多発や国際的な情勢の変化の中で、検死や身元確認、それに伴う法律の知識や技術などを医師が求められる機会は少なくない。しかし、その一方で「これまでこうした知識や技術を総合的に教育するシステムはほとんど存在せず、世界的に専門家が不足している」(エディンバラ大病理学部のハリソン教授)という。

 エディンバラ大学では、米豪の大学との連携を通じて、プログラム内容を相互補完するほか、ネットを通じた遠隔教育に乗り出すことで、学生を国内外から広く集め、人材育成につなげる考えだ。すでに予定されているプログラムには、検死に加え、幼児の虐待や突然死の調査・報告の訓練なども含まれるという。

  3大学のプログラムの詳細は、 http://www.globalforensic.org/ で閲覧可能。
First released 18 Aug 2005 @
抗うつ剤と自殺の因果関係について臨床検査−オスロ大学
 オスロ大学(ノルウェー)の研究チームは、成人のうつ病患者が抗うつ剤「パロセチン」の服用を続けると、服用していない患者より、自殺未遂を起こす確率が7倍も高くなる、との統計分析を発表した。詳細は、オンライン医療ジャーナル「BMC Medicine」に「Suicidal attempts in clinical trials with paroxetine randomized against placebo」として掲載された。

 パロセチンはセロトニン再吸収抑制剤(SSRI)のひとつ。調査では、16件の臨床試験に参加した成人のうつ病患者約1500人がそれぞれ、パロセチンまたは偽薬のどちらかを無作為に選び、服用を続けた。試験終了後、各参加者のデータを統計学的に分析・比較したところ、自殺未遂を起こす確率は7対1の割合で、パロセチンを服用していた患者グループのほうが高かったという。自殺者はでなかった。

 同大の調査結果は、英国放送協会(BBC)や有力紙ザ・タイムズが22日付の紙面などで取り上げた。BBCによれば、英国では最近、服用を継続すると自殺願望が強まる危険性があるとして、パロセチンの青少年への処方が禁じられたばかりという。オスロ大学の研究チームは、「(禁止を)成人にも広げるべきだ」と主張している。

 ただ、一部のうつ病患者支援団体などのように「多くの患者に効果があったことと、自殺願望が強まる可能性のバランスをどのようにみるかだろう」として、分析結果には慎重な見方もある。

  2月にも英医療専門誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)が、メーカーのデータをもとにSSRIの服用が、うつ病患者の自殺願望を強める可能性があるとする分析結果を掲載している。
<関連サイト>
http://www.biomedcentral.com/1741-7015/3/14/abstract
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-1741916,00.html
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4172482.stm
First released 21 Aug 2005 @
アルコール摂取で体内リズムが混乱
 米アルコール依存症問題専門誌「Alcoholism: Clinical & Experimental Research」は8月号で、アルコールの長期摂取が概日リズムなど人間が体内に持つ生物リズムにどのような影響を与え、最終的にどのように体調に影響するかの可能性をまとめたレポートを掲載した。

 人間の体内には、心臓拍動、体温変動、血圧、女性の性周期、ウイルスやバクテリアに対する免疫力にいたるまで、体の機能を支える様々な生物リズムが細胞レベルで存在することが知られている。レポートでは、アルコールの摂取を続けると、これらのリズムが狂い、睡眠障害や鬱症状、免疫機能の低下、がんなどの身体的影響を引き起こす可能性があるとしている。

 また、アルコール依存症の患者は、バイオリズムに関わる「Period遺伝子」に異常がみられる場合があると指摘。遺伝子的素因から、生物リズムに障害が生じ、身体機能になんらかのストレスがかかったため、アルコールに対する嗜好性が強まるケースがあることも示した。
First released 14 Aug 2005 @
メディアと一次情報
 カナダのマックマスター大学を中心とする加米英の研究チームは、2004年にカメルーンとカンボジア政府が、抗レトロウイルス薬「テノフォビル(tenofovir)」の臨床治験を中止した際に英米メディアが配信した記事を比べ、それぞれの報道内容に一貫性がなく、ほとんどの場合、一次情報源から情報を得ていなかった可能性があると指摘するレポートを発表した。

 HIV感染予防薬としてのテノフォビルの有効性を調べる治験をめぐっては、治験参加者の保護を訴えて中止を求めるキャンペーン団体の圧力があった。しかし、治験をめぐる論争を報じる記事の中で、治験の実行者側と参加者双方に直接取材したとみられるものはほとんどなかったという。また、治験が中止になった理由についても、それぞれのメディアによって大きく異なり、中には事実と異なる情報を発信したところもあったという。

 同大のミルズ氏は、「メディアは信頼できる一次情報を得れば、正確な情報を発信できたかもしれない」とし、「HIV感染に絡む論争が起きているような場合、研究機関側もメディアや一般に向けて正確な情報を提供する努力が必要だろう」と結論付けた。レポートは、医療と人権問題を専門とする米オンライン・ジャーナル「BMC International Health and Human Rights」に掲載された。
First released 24 Aug 2005 @
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