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海外トピックス
 英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.09.9
夜間当直続きの研修医の集中力は飲酒者以下?−米ミシガン大
 米ミシガン大学とブラウン・メディカル・スクールの研究チームは、長時間にわたる勤務や夜間当直による睡眠不足が、研修医の能力にどのような影響を与えるかについて調べた。それによると、長時間勤務と夜間当直(4〜5日おき)続きで1日の平均睡眠時間が約3時間半しかない研修医の集中力は、睡眠時間が同約6時間40分の研修医がカクテル酒を3〜4杯摂取した後よりも若干低かったという。

  調査では、34人の小児科研修医に、それぞれ、夜間当直のある月と、ない月を2回ずつ繰り返させ、それぞれの月の終わりに、自動車の運転シミュレーション・テストを行なった。夜間当直のある月の1週間の勤務時間は90時間(2003年7月1日以降は80時間)、当直のない月の勤務時間は同44時間とした。

  シミュレーション・テストの前には、夜間当直明けの研修医にはアルコール飲料に見立てた非アルコール飲料を、当直のない月のセッションを終えた研修医には本物のアルコール飲料(ウオツカ・ベースのカクテル)を摂取させ、集中力にどの程度の差が出るかを調査した。

  テストの結果、双方とも走行スピードや前進にふらつきが見られたが、夜間当直明けの研修医のほうが、飲酒後の研修医よりも走行スピードを維持できない確率が30%近くも高かったという。また、ミスの確率も4割高かった。

 これらのことから、研究チームでは「夜間勤務明けで睡眠不足の研修医の集中力や運転能力は、飲酒後の研修医(血中アルコール濃度が0.04%程度)程度、もしくはそれ以下だということが分かった」(J・トッド・アーネット教授)とし、「研修医の睡眠不足が引き起こすリスク管理について対策を検討する必要がある」(ジュディス・オーエン準教授)との考え方を示した。

 米国では2003年以降、研修医の1週間の勤務時間は80時間までと規定されているが、オーエン準教授は「それだけでは済まない問題だ」と強調した。

 同調査報告は、アメリカ医師会報(JAMA)に掲載された。
<関連資料>
 ・ブラウン・メディカル・スクール
First released 6 Sept 2005 @
米国人の医師に対する満足度調査−ジョンズ・ホプキンズ医学研究所
 米ジョンズ・ホプキンズ医学研究所は、全米約5,500人を対象に、医師の対応の満足度調査を行なった。それによると、回答者の76%が「尊重されていると感じる対応を受けた」と、77%が「治療法を決める際に自分の意思を十分考慮に入れてもらった」と答えたという。

 アンケートでは過去2年に受けた診療で、医師の対応の仕方にどの程度満足したかを尋ねた。アンケートの対象者5514人で、人種別では、白人、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系を網羅。過半数を女性で、高等教育を受けた富裕層が占めた。

  アンケートではまた、医師の勧めに従って治療を継続しようと思う条件についても尋ねた。これに対しては、アフリカ系など白人以外の米国人が、医師から尊重されていると感じる扱いを受けることを重視する一方、白人は治療法の決定に自分の意思が反映されることを希望する傾向にあったという。

  アンケートの結果は「The Annals of Family Medicine」に掲載された。
First released 1 sept 2005 @
白血球中の酵素の働きがHIV再生を抑止−米ロチェスター大
 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の5%は、長期間、治療を受けなくても発症しないまま健康体で過ごしているとされる。米ロチェスター大学メディカル・センターの研究チームは、こうした長期未発症感染者の白血球にはHIVの遺伝子構造を変換して再生を阻む「APOBEC-3G (A3G)」と呼ばれる酵素が多く含まれる、とする研究論文を発表した。

 論文によると、A3GはHIVの再生を阻む働きがあるうえ、A3Gの量が多ければ多いほど、HIV細胞を攻撃するCD4T細胞のカウント数が多かったことも分かったという。

  一方で、HIVはA3Gを破壊するVIFたんぱく質も作り出している。論文の共著者である同センターのハロルド・C・スミス教授は、「長期未発症患者と違い、ほとんどの感染者は、このVIFたんぱく質を抑えるのに十分な量のA3Gを生産していないと考えられる。今後は、VIFたんぱく質の攻撃からA3Gをどれだけ守ることができるかが、治療のカギを握るだろう」と指摘した。

 同論文は、ウイルス学専門誌「The Journal of Virology」9月号に掲載された。
First released 1 sept 2005 @
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