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海外トピックス
 英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.09.16
うつ病と心臓疾患に関連性−米オハイオ州立大学
 米オハイオ州立大学の研究チームは、うつ症状のある心臓病患者のTNF(腫瘍壊死因子アルファ)の血中レベルが、うつ症状のない心臓病患者より2倍近くも高いとする研究報告を発表した。TNFアルファは、細胞の情報伝達に関わるたんぱく質「サイトカイン」の一種。傷を負った部分や感染部位を治癒するために炎症反応を起こす働きがある。

 心臓病患者のTNFアルファの血中レベルはもともと高いとされるが、通常よりも高いということは、強い炎症反応を起こして、血液を送り出す心臓の働きに影響を及ぼすリスクも高いともいえる。

  研究は、同州立大学のエイミー・フェルケティッチ助教授らのチームが行なった。同大所属クリニックの心臓病患者32人を、うつ症状があると診断したグループとないと診断したグループに分け、各患者の「TNFアルファ」と「インターロイキン6」、「インターロイキン1ベータ」という3種類のサイトカインの血中レベルを比べた。その結果、うつ症状がある患者は「TNFアルファ」の血中レベルが、うつ症状のない患者よりも顕著に高いことが判明したという。

  フェルケティッチ助教授は、この結果を踏まえ、「うつが心臓疾患の原因になるのか、心臓疾患がうつの原因になるのか定かではない。しかし、医師は心臓病患者がうつ症状を起こしやすいことを念頭に入れたほうが良いと思われる。また、抗うつ剤を服用すると心臓病患者の症状が緩和されるのかどうについても調べる必要があるだろう」と述べた。

 詳細は、米心臓病専門誌「American Heart Journal」に掲載された。
<関連資料>
 ・http://researchnews.osu.edu/archive/sadheart.htm
First released 7 Sept 2005 @
子供にはハリケーン被害報道番組の視聴制限を−米NYU
 米国を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」による被害の状況や被災者の様子は、テレビ番組での生々しい映像とともに、毎日のように伝えられている。米ニューヨーク大学幼児童学センターのハロルド・C・コプルヴィッツ理事は、子供がこれらの番組を繰り返し視聴すると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性が高くなると指摘。特に11歳以下の子供に、これらの番組の視聴を制限するよう呼びかけた。

 12歳以上の子供に対しても、報道内容に関する質問があれば、誠意を持って答え、安心感を与える対応が重要であるとアドバイスした。また、同センターは、万一、子供の様子に心配な点が続くようであれば、カウンセラーやメンタルヘルスの専門医に相談することを勧めている。
First released 9 sept 2005 @
経口避妊薬が多発性硬化症の抑止に一時的な効果?−米ハーバード大学
 米ハーバード大学公衆衛生スクールの研究チームは、経口避妊薬(ピル)に、多発性硬化症(MS)の進行を一時的に抑える効果があるとの調査報告を発表した。

 1990年代後半の英国のMS患者のデータベースをもとに、避妊治療(多くは経口避妊薬を服用)を受けた人とそうでない人の間でMSが進行するリスクにどれだけ差があるかを調べたところ、受けた人のほうが、リスクが4割も抑えられていたことが判明したという。また、ネズミに女性ホルモンを過剰投与した実験したところ、MSに似た神経疾患の進行を抑える効果がみられたとの最近の研究報告についても言及した。

  ただ、調査を率いた疫学部のアロンゾ研究員によれば、「ピルの効果は一時的なもので、長期的には進行を抑える効果がないことは念頭に置くべきだ」という。

 MS患者の3分の2は女性が占めていることから、「女性ホルモンがMSの発症に関係しているのではないかとも考えられてきた」(アロンゾ研究員)。このため、米国では、医師が、家族や親戚にMS患者がいる女性にピルの服用を勧めることは基本的にないという。
First published online 12 Sep t2005 @
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