米オハイオ州立大学の研究チームは、うつ症状のある心臓病患者のTNF(腫瘍壊死因子アルファ)の血中レベルが、うつ症状のない心臓病患者より2倍近くも高いとする研究報告を発表した。TNFアルファは、細胞の情報伝達に関わるたんぱく質「サイトカイン」の一種。傷を負った部分や感染部位を治癒するために炎症反応を起こす働きがある。
心臓病患者のTNFアルファの血中レベルはもともと高いとされるが、通常よりも高いということは、強い炎症反応を起こして、血液を送り出す心臓の働きに影響を及ぼすリスクも高いともいえる。
研究は、同州立大学のエイミー・フェルケティッチ助教授らのチームが行なった。同大所属クリニックの心臓病患者32人を、うつ症状があると診断したグループとないと診断したグループに分け、各患者の「TNFアルファ」と「インターロイキン6」、「インターロイキン1ベータ」という3種類のサイトカインの血中レベルを比べた。その結果、うつ症状がある患者は「TNFアルファ」の血中レベルが、うつ症状のない患者よりも顕著に高いことが判明したという。
フェルケティッチ助教授は、この結果を踏まえ、「うつが心臓疾患の原因になるのか、心臓疾患がうつの原因になるのか定かではない。しかし、医師は心臓病患者がうつ症状を起こしやすいことを念頭に入れたほうが良いと思われる。また、抗うつ剤を服用すると心臓病患者の症状が緩和されるのかどうについても調べる必要があるだろう」と述べた。
詳細は、米心臓病専門誌「American Heart Journal」に掲載された。
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