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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.11.04
外側視床下部の細胞増が体重減に効果−ハーバード大の実験で
 米ハーバード大学医学部の研究チームは、脳の摂食中枢である外側視床下部に毛様体神経栄養因子(CNTF)を注入することにより、ネズミの減量につなげることができたとする研究報告を発表した。

  実験では、少量のCNTFを外側視床下部に注入したネズミと注入しないネズミにそれぞれ脂肪と糖分の高い食事を与え、5週間にわたり、体重の変化を調べた。その結果、CNTFを注入したネズミの体重は実験開始後2週間で16%減少。実験が終了するまで、リバウンドすることはなかった。

 CNTFを注入したネズミの外側視床下部の細胞を調べたところ、注入されてから増殖した細胞の数は注入していないネズミの5倍もあったという。このことから、同チームでは、外側視床下部の細胞の増殖がなんらかの形で体重の減少につながることが確認されたとみている。

 どのようにして体重の減少につながるかは明らかになっていないが、外側視床下部の細胞が増えることにより、食欲を調整する働きがあることで知られるレプチンに影響を与えるのではないかとの見方も一部専門家の間で出ているという。
First published online 27 Oct 2005 @
月経前症候群(PMS)と脳の活動に関連性
 月経前症候群(PMS)の症状として、情緒不安定になる女性は多いが、周期に左右されず、一貫して情緒が安定している女性が存在するのも事実。両者の違いはどこから生じるのか――。米コーネル大学の研究チームがMRIスキャンでPMSの症状を起こさない女性の脳内の動きを調べたところ、月経前の女性ホルモンの増量に比例して、情動に関与する眼窩前頭皮質の働きが活発になることが分かったという。

 研究の対象になったのは、PMS症候群の症状が比較的少ない女性12人。月経前周期とその10日後の2回にわたり、前向きな言葉と後ろ向きの言葉に対する印象テストと脳のMRIスキャンを行なった。その結果、印象テストの結果と脳内の働きに関連性はみられなかったが、月経前周期に眼窩前頭皮質の働きが目立って活発になることが判明したという。

 研究チームではこのため、月経前の精神安定は、脳の働きによって維持される可能性があるとの見方を強めており、次のステップとして今度はPMSの症状の激しい女性の月経前の眼窩前頭皮質の働きを調べる計画だ。 
First published online 24 Oct 2005 @
不衛生な献血でC型肝炎感染拡大−中国
 米アラバマ大学の研究チームが中国山西省の12村の村民を対象に過去の献血や売血行為についてのアンケート及びC型肝炎抗体テストを実施したところ、献血したことのある村民の3割近くがC型肝炎感染者だったことが判明。また、ある村では半分近くの村民が不正な方法で売血したことがあったという。同国の村落部でC型肝炎の感染率が高い理由は不衛生な献血施設での取り扱いや売血行為によるものだという指摘がかねてあるが、これが裏付けられた格好だ。

  アンケートと抗体テストは、1980〜90年代初めにかけて、献血施設で血漿成分献血をしたことのある12村の村民538人を対象に実施した。献血したことのない村民のC型肝炎の感染率は3%にとどまったが、献血経験者の感染率は28%に上った。

 また、売血についてのアンケートでは、538人のうち約4人に1人(22%)が「売血経験がある」と答えたという。中には村民の49%が不正な方法で売血をしたことがあるという村もあり、売血が広く行なわれていた事実を示した。アンケートを通じて、同省の村民による売血は1973年から1998年まで行なわれていたということもわかった。

 アンケートでは、1990年代末まで献血施設でも血液を不衛生な方法で貯蔵するケースが相次いでいた事実も確認された。また、輸血したことのある村民の感染率は輸血をしたことのない村民の8倍もあったという。

 調査チームでは、これらのことから、同地域に衛生的な献血や血液の保管方法を引き続き優先的に広める一方で、C型肝炎患者の治療支援や医薬品の供給支援なども行なう必要がある、と結論づけた。
First released 20 Oct 2005 @
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