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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.12.02
痴呆患者に鎮痛剤服用の勧め――米セント・ルイス大学
 米セント・ルイス大学の研究チームは、介護施設の痴呆患者が副作用の少ない鎮痛剤の服用を続けたところ、日常生活における行動が活発になった、との調査報告を発表した。報告は「Journal of the American Geriatrics Society(米老人病学会ジャーナル)」11月号に掲載された。

 同大の調査では、軽度から重度の痴呆症患者25人を対象に実施。通常服用している向精神薬以外に、市販されている鎮痛・解熱剤アセトアミノフェンを4週間、さらに4週間は偽薬を日常的に服用させ、アセトアミノフェンに効果があるかを調べた。

 その結果、アセトアミノフェンを服用している期間、患者は他の痴呆患者よりも活発に動き、一人で過ごす時間も少なかったという。また、周囲の人とも交流し、テレビや音楽鑑賞のほか、ちょっとした作業にも関わるようになった。
 
 調査を率いた同大のジョン・T・チブナル教授は、「痴呆患者は痛みを感じていても、うまく伝えられずにいる。今回の調査結果は、痛みを和らげることで、患者が、これほど活発になるのだということを示した」と語った。
First released 30 Nov 2005 @
末期患者の呼吸困難緩和にモルヒネ−米オレゴン健康科学大学
 米オレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University、OHSU)は、人工呼吸器を外した後の末期患者へのモルヒネ投与が、患者の呼吸困難を緩和させ、最期を迎える前の状態を安定させるのに役立つとの研究報告を発表した。報告は、「The Journal of Palliative Care(緩和医療ジャーナル)」に掲載された。

 同大は、「呼吸困難に陥っている末期患者へのモルヒネ投与は、呼吸のペースを遅くし、死期を早めるとの見方があるが、モルヒネ投与により、むしろ患者の状態が安定することがある。死期を早めるということには必ずしもつながらないようだ」、としている。研究報告では、モルヒネや鎮痛剤の投与により、担当医の予想より長く生きた5人の患者の事例をあげ、適量のモルヒネに、ある程度の延命効果があることを示した。

  OHSUのマイルズ・エドワード教授は「モルヒネで呼吸のペースが遅くはなるが、呼吸困難や消耗を緩和することが延命につながるようだ」とみている。同大ヘルスケア倫理センターのスーザン・トール理事は、「窒息しそうになる苦しみをモルヒネが抑え、少ない酸素でも安らかな最期を迎えることができる場合があるということだろう。このようなモルヒネの効果は、米全土で認められつつある」と述べた。
First released 30 Nov 2005 @
イルカとの交流がうつ病治療に効果−英レスター大学
 英レスター大学の研究チームは、自然の環境の中でイルカと交流することが軽度、中重度の鬱病患者の治療に効果があるとの調査論文を発表した。同論文は、英医療専門誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。

 調査は、軽度、中重度の鬱病患者30人を対象にホンデュラスで2週間にわたり、実施した。イルカと毎日1時間、水中スポーツをして過ごすグループとイルカなしで毎日1時間、水中スポーツをして過ごすグループの2つに分け、それぞれのグループの患者に調査開始時と終了後にハミルトン鬱病評価尺度など複数の尺度を用いたテストを行なった。

 テスト結果を調査前後とグループ別で比べたところ、イルカと毎日1時間過ごしていた患者のグループのほうが、イルカなしで過ごしていたグループより、鬱病の症状が軽減されていたことが分かったという。患者には調査開始の4週間前から期間中にかけて、抗鬱剤を服用しないよう指示していた。

 調査チームではこのことから「動物を使った治療方法を用いれば、軽度、中重度の鬱病患者には治療薬や精神療法の必要性がない場合があるかもしれない」と結論付けている。
<関連サイト>
・BMJ (http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/331/7527/1231)
First releasd 24 Nov 2005 @
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