米セント・ルイス大学の研究チームは、介護施設の痴呆患者が副作用の少ない鎮痛剤の服用を続けたところ、日常生活における行動が活発になった、との調査報告を発表した。報告は「Journal of the American Geriatrics Society(米老人病学会ジャーナル)」11月号に掲載された。
同大の調査では、軽度から重度の痴呆症患者25人を対象に実施。通常服用している向精神薬以外に、市販されている鎮痛・解熱剤アセトアミノフェンを4週間、さらに4週間は偽薬を日常的に服用させ、アセトアミノフェンに効果があるかを調べた。
その結果、アセトアミノフェンを服用している期間、患者は他の痴呆患者よりも活発に動き、一人で過ごす時間も少なかったという。また、周囲の人とも交流し、テレビや音楽鑑賞のほか、ちょっとした作業にも関わるようになった。
調査を率いた同大のジョン・T・チブナル教授は、「痴呆患者は痛みを感じていても、うまく伝えられずにいる。今回の調査結果は、痛みを和らげることで、患者が、これほど活発になるのだということを示した」と語った。
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