米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、適度な運動や1日5回の食事、ストレッチなどリラックス効果のある体操などによるストレス軽減を心がけることが、高齢者の記憶力の維持と強化に効果があるとする調査報告を発表した。米精神神経薬理学会の年次会議で発表した。
研究チームは、17人の高齢者に(1)記憶力を試すゲームを行なう、(2)脳の主エネルギーであるぶどう糖の水準を維持するため、1日に5回の食事を少量に分けて摂取する(栄養バランスも考慮)、(3)体力維持のために早歩きやストレッチ運動をする、(4)ストレッチなどのリラクゼーション運動でストレスの軽減に努める――の4点を日常的に行なう生活プログラムを継続させ、2週間後に脳のPET検査を実施。検査結果をプログラムを開始する直前の2週間前と比較した。
その結果、プログラム終了後は、記憶の働きに関係する脳の部位(dorsal lateral prefrontal)の新陳代謝が5%減り、効率的に機能していることが判明したという。また、参加者はそれぞれ、自分の記憶力が向上したという自覚がある、と答えたという。
この調査結果について、UCLAのゲイリー・スモール教授は「健康的な食事や運動が体力の維持に役立つように、記憶力についても、短期間にこれだけの成果が出たことは注目に値する」と述べた。今後は食事、運動などがそれぞれどのように記憶力の維持や強化に役立つかを調べ、もっとも効果の高い生活様式プログラムを編成する計画という。
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