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英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。 |
掲載日: 2006.01.06 |
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米国の薬価が高い理由――米ウエイクフォレスト大学 |
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米ウェイクフォレスト大学公衆衛生学のカート・ファーバーグ教授は、世界13カ国の薬価比較調査を実施した。その結果、米国の薬価がその中でもっとも高水準にあることがわかったとし、薬価が毎年12~15%の伸び率で上昇していることにも懸念を表明した。
薬価上昇の原因として、製薬会社が薬価を決める際に制約がないことや、特許に保護されて処方箋の価格が高止まりしていることなどを挙げ、「米国では薬価の上限が青天上だ」と強調した。薬価を抑えるためには、他の国で実施されている薬価抑制策や薬価の制定規準が役立つとして、日本やオーストラリア、ドイツ、英国の例などを挙げた。
同教授は、後発医薬品の利用を促すことや、他の国で適用されている薬価制定規準などの導入により、「薬剤支出は現在の3~5割は抑えられるはずだ」とみている。「製薬会社が主張するように薬価抑制が医薬品の開発を阻害することにはつながらない。他の国の事例を見習うことで、医療の質を落とさずに、コストを抑えることができるはずだ」と強調した。
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First released 4 Jan 2006 @ |
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思春期の青少年にも多い躁鬱病-米ブレイドリー病院 |
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米ブレイドリー病院(ロードアイランド州)は、思春期の青少年の躁鬱病(双極性障害)の症例は従来考えられているよりも多い、とする調査報告を「the Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology」12月号に発表した。
調査では、ブレイドリー病院の精神病棟の入院患者391人全員を対象にK-SAD(小児用気分障害・統合失調症質問表)を用いた躁病テストを実施。その結果と、家族や本人の経歴などの情報を総合した結果、20%が躁鬱病と診断されたという。
調査を率いたジェフリー・ハント教授は、「専門家の間では一般に思春期の躁鬱病の症例は非常に少ないとされている。調査の結果にある通り、躁鬱病が従来考えていた以上に多いのであれば、鬱病の症状で入院した患者であっても鬱病なのか躁鬱病なのかの診断を最初に行なっておく必要がある」と述べた。
躁鬱病の患者は鬱病の患者よりも自殺傾向などが強いことから、鬱病患者以上に注意深い保護が必要とされる。このため、「躁鬱病かどうかの診断は、患者に的確な治療を行なうことにもつながる」(同)。ハント教授は、躁病にみられる衝動的な行動やはしゃぐ性質がもともと思春期の青少年にみられるものであることから、思春期の患者の診断には特に注意が必要であることも指摘した。
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First released 28 Dec 2005 @ |
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骨粗鬆症治療に内因性カンナビノイドが有効-イスラエル・ヘブライ大学 |
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イスラエルのヘブライ大学の研究チームは、人間の脳内で合成される「内因性カンナビノイド」と免疫系の細胞に多く発現するCB2受容体が相互作用することにより、骨の消耗を防ぐことができる、とする研究論文を全米科学アカデミー会報(PNAS)に発表した。
同大はまず、ドイツのボン大学との共同研究で、CB2受容体が欠落したネズミが年を追うごとに重度の骨粗鬆症を引き起こしたとして、CB2受容体に骨の密度を維持する働きがあることを確認したという。さらに、内因性カンナビノイドにCB2受容体を活性化する働きがあることも確認。。
この結果を受けて、同大では、内因性カンナビノイドをベースにした合成成分「HU-308」を開発した。これを投与することによりネズミの骨粗鬆症の進行を遅らせることができたとしている。
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First released 4 Jan 2006 @  |
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