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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.02.03
肥満はウイルス感染症?――米ウィスコンシン大学
 咽頭結膜熱などの原因とされるアデノウイルスの特定の型に感染すると肥満になる可能性があることは、かねてから一部の科学者の間で指摘されていた。米ウィスコンシン大学の研究チームは、このほど、脂肪を増やす原因になるアデノウイルスとして新たにAd-37型を特定できたとする研究論文を発表した。

 約50種類の型があるアデノウイルスのうち、Ad-36型についてはすでに、肥満患者の間で感染しているケースが多いことが指摘され、Ad-5型とともに動物実験でも肥満の原因となる可能性が高いことも証明されている。同大では、今回、ニワトリに、Ad-1、Ad-31、Ad-37の3種類のアデノウイルスをそれぞれ感染させ、3週間後に体脂肪や血清脂質がどの程度増えるかを調べた。その結果、Ad-37型に感染したニワトリの体脂肪と体重がAd-1、Ad-31型に感染したニワトリより際立って増えていたという。

 この結果から、同チームでは「すべてのAd-37型がヒトの肥満の原因になるとは言えないが、脂肪症の原因になるという点では、Ad-36、Ad-5型に続いて第3番目のウイルスになった」とし、「今後はアデノウイルスがどのように脂肪を増やすかのメカニズムを調べる必要がある。将来、ワクチンを開発できれば、ウイルス感染による肥満治療に役立てるかもしれない」との見方を示した。

 肥満が感染症だとする指摘に懐疑的な科学者も多い。しかし、チームを率いたリー・D・ウィガム氏は「多くの国々でほぼ一斉に肥満が急増した原因は何なのか。米国では、過去30年間で肥満成人が倍増し、子供の肥満も3倍にも膨れ上がっている。これは食事や運動量だけに関連付けて説明できることだろうか。また、ストレスが原因だと思われていた胃潰瘍がピロリ菌によって引き起こされる場合があることが分かったように、ウイルス感染で肥満になることもあり得る」と述べた。

 ウィガム氏らの研究論文「Adipogenic potential of multiple human adenoviruses in vivo and in vitro in animals」は、『the American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology』誌1月号に掲載された。
First released 30 Jan 2006 @
民族によって異なる終末期ケアの考え方ー米国調査
 米ミシガン大学のソニア・A・デュフィー博士率いる調査チームは、アラブ系イスラム人、アラブ系キリスト教徒、ヒスパニック系、アフリカ系、白人系米国人を含む73グループを対象に終末期をどこでどのように過ごしたいかを尋ねたアンケート調査を実施した。その結果、同じ米国民でも民族によって終末期の過ごし方の考え方に大きな違いがあることが分かったという。

 特に50歳以上を集めた10グループの結果を比べたところ、終末期における介護を誰にしてほしいかの考え方に大きな違いがみられたという。

  たとえば、アラブ系米国人は介護施設で過ごすことについて強い抵抗感を示し、家族や親族、隣人家族などによる介護を強く希望すると傾向にあったという。また、ホスピスケアという概念は希薄だった。これに対して、アフリカ系米国人の間では、自宅で家族に介護の責任を負わせるよりも介護施設や病院、ホスピスで過ごしたいと考える人が多かった。同様に白人系米国人も終末期の介護は家族がすることではないと考えており、介護施設や病院、ホスピスで過ごすことに抵抗感を示さなかったという。ヒスパニック系米国人も、病院やホスピスには抵抗感を示さなかったものの、介護施設を避ける傾向が強かった。

 このほかの出身民族別の特徴としては、アフリカ系米国人の場合は、医療現場における黒人差別の歴史から、医師に対する不信感を示す人が多かったという。また、多くのアラブ系米国人は、自分の病状についての情報は家族に知らせず、自分だけに留めておきたいと考えており、延命措置には抵抗感を示した。白人系米国人は、介護は家族の責任ではないとしながらも、死期を自宅で過ごしたいと考える人が多かった。また、他の民族に比べ、治療の内容についての説明や選択肢を事前に与えられることを望む傾向が強かった。代替医療を受けることに前向きだったのは、ヒスパニック系米国人だけだった。

 デュフィー博士は、これらの結果から、「米国の医療システムは西洋の価値観に基づいており、必ずしも、すべての民族の価値観に通じるものではない。医療従事者は皆、患者一人ひとりを個別にみて、対応することを心がけるべきだろう」と述べた。  
First released 23 Jan 2006 @
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