米フロリダ大学、マルコム・ランダル退役軍人管理医療センターなどの研究グループは、精神的なストレスが従来考えられてきたより負担を心臓に与えているとの研究論文を発表した。運動テストや血流に圧力を加える化学テストで虚血症状を起こす人が、精神的ストレスでも虚血症状を示すことは知られているが、今回の実験では、運動テストでも化学テストでも、虚血症状を起こさない患者でも、精神的ストレスだけで虚血症状を示すことがわかったという。
研究グループは、冠動脈に疾患のある29人の患者を対象に実験を行った。実験では、それぞれに。精神的なストレスを感じる情況を想像してもらい、その後、そのような状況で自分がどのように対応するかどうかについてスピーチしてもらった。その間、胸痛や無症候性虚血の症状を示す患者は1人もでなかった。また、血圧や脈拍にも変化はなかった。
ところが、患者がスピーチを始めて間もなく、放射性トレーサーを投与し、心筋の血流を計測したところ、29人のうち6人が虚血の症状を示していたことがわかった。
今回初めて運動テストで症状の出ない患者でも、精神的ストレスによって虚血症状を起こす可能性があることが確認されたことで、研究グループでは、「この患者グループについては、機能的に重度な冠動脈疾患を抱えている可能性がある」として、さらなる調査の必要性を強調した。
この研究論文は「Journal of the American College of Cardiology」(2006年3月7日号)に掲載された。
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