先見創意の会
MENU
SSネット勉強会
<< トップへ戻る 海外トピックスバックナンバー一覧へ >>
海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.03.10
メディケアの診療報酬算出方式に見直しを―米国内科学会
 米国内科学会(the American College of Physicians 、ACP)はこのほど、高齢者向け医療保険(メディケア)が採用するSustainable Growth Rate(SGR)方式と呼ばれる経済成長率に連動させた診療報酬の算出方法の廃止を求める法案への支持を表明した。

 ACPが支持を表明したのは、ナンシー・L・ジョンソン下院議員小委員会で提出された「2005年価値に基づくメディケア内科医療報酬法案(the Medicare Value-Based Purchasing for Physicians’ Services Act of 2005)」。この法案は、医療サービスの内容の変化によって安定的で予測可能な診療報酬の改定を毎年行なうことを前提に、医療の質と効率の向上を目指すもので、実質的なSGRの廃止につながる。

 SGR方式により、診療報酬総額の伸びに抑制圧力をかけることができるとされているが、医療の実態を反映しないコスト抑制や、専門性の高い医療の偏重により、医療の質や公平性、効率性の維持に支障をきたしているとの懸念がかねて指摘されていた。

 ACPは、また、現在のメディケアの診療報酬の配分の仕方が、専門医に偏りがちで、一般医へのコスト抑制圧力が強いことに強い懸念を表明している。社会全体の高齢化が進む中で、複数の症状や疾患を抱える慢性病患者に対応する一般医の需要が今まで以上に増えると予測しており、このままでは一般医の需給が追いつかなくなるとみているためだ。経済成長率に合わせて、こうした需要への対応を抑えるべきではないと主張している。

 ACPは内科医、関連専門医、医学生を含む11万9000人を擁する学会。
<関連サイト>
State of the Nation's Health Care 2006: ACP Releases Proposals to Avert Looming Collapse of Primary Care
Statement on Replacing the Sustainable Growth Rate (SGR) Methodology Used to Calculate the Update for Medicare Payments Under the Physician Fee Schedule (Association of American Medical Colleges)
First released 1 March 2006 @
精神的なストレスによる心臓への負担は予想以上
 米フロリダ大学、マルコム・ランダル退役軍人管理医療センターなどの研究グループは、精神的なストレスが従来考えられてきたより負担を心臓に与えているとの研究論文を発表した。運動テストや血流に圧力を加える化学テストで虚血症状を起こす人が、精神的ストレスでも虚血症状を示すことは知られているが、今回の実験では、運動テストでも化学テストでも、虚血症状を起こさない患者でも、精神的ストレスだけで虚血症状を示すことがわかったという。

 研究グループは、冠動脈に疾患のある29人の患者を対象に実験を行った。実験では、それぞれに。精神的なストレスを感じる情況を想像してもらい、その後、そのような状況で自分がどのように対応するかどうかについてスピーチしてもらった。その間、胸痛や無症候性虚血の症状を示す患者は1人もでなかった。また、血圧や脈拍にも変化はなかった。

 ところが、患者がスピーチを始めて間もなく、放射性トレーサーを投与し、心筋の血流を計測したところ、29人のうち6人が虚血の症状を示していたことがわかった。

 今回初めて運動テストで症状の出ない患者でも、精神的ストレスによって虚血症状を起こす可能性があることが確認されたことで、研究グループでは、「この患者グループについては、機能的に重度な冠動脈疾患を抱えている可能性がある」として、さらなる調査の必要性を強調した。

  この研究論文は「Journal of the American College of Cardiology」(2006年3月7日号)に掲載された。
First released 7 March 2006 @
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.