米ピッツバーグ大学の研究チームは、ゲイやレズビアンなどの同性愛嗜好者や性転換手術を受けた人などを診療する際に医療提供者が留意する点についてまとめた心得書「The Handbook of Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender Public Health: A Practitioner's Guide to Service」を発行した。
この心得書では、同性愛の患者が医療サービスで受ける差別(酷い場合は診療そのものを拒否される場合がある)や、生殖器系のガン発生率が高いこと、医師が個人の生活様式よりも性別によって疾患のリスク要因を捉えがちであるといった指摘、医療情報の秘匿性に関する問題点などに医師が実際に診療を行なううえで留意すべき点をまとめた。
研究者のマイケル・D・シャンクル氏は中でも「同性愛の女性が定期検査を避けがちで、生殖器系のガンがかなり進んでから、受診する傾向にある」点について懸念を示し、「差別が受診抑制につながり、十分な検査を受けずに疾患を悪化させる患者が多いことを忘れてはならない」と強調した。
「米国で、同性愛者というと少数派で、疾患といえばエイズなどの性感染症を結び付けて考えられがちだ。しかし、実際には人数は考えられている以上に多く、問題も複雑だ。公衆衛生上の観点からも同性愛者特有の問題に対処する体制を整える必要がある」という。
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