先見創意の会
MENU
SSネット勉強会
<< トップへ戻る 海外トピックスバックナンバー一覧へ >>
海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.04.07
週一回の礼拝は、寿命を延ばす?−米ピッツバーグ大
 米ピッツバーグ大学医療センターは、礼拝やその他の宗教儀式に定期的に出席している人と定期的な運動を行なっている人やスタチン系高脂血症治療を受けている人の相関関係を統計分析したところ、3グループとも一般に比べて2〜5年寿命が長い、との結果が出たという。解析結果は、『the Journal of the American Board of Family Medicine』(3〜4月号)に「Religious Attendance: More Cost-Effective Than Lipitor? (宗教儀式への参加:リプトール錠より高いコスト効果?)」のタイトルで掲載された。

 解析結果によると、定期的な運動をする人は3.0〜5.1年、スタチン治療を受けている人は2.1〜3.7年、週に1回、宗教儀式に出席する人は1.8〜3.1年、そうでない人に比べて寿命が長いという。また、コスト比較を行なったところ、スタチン治療にかかる費用がもっとも多く年間10,000ドル。信仰儀式への出席が同7,000ドル、定期的な運動が4,000ドルの計算だった。

 宗教儀式への参加が、実際に健康状態の変化につながるという証拠はないが、解析した研究者チームは、今回の解析結果は信仰と健康の関係を調べるときに材料のひとつになるだろう、としている。
<関連サイト>
http://newsbureau.upmc.com/Medsurg5/ExtendingLifeStudy.htm
First released 3 Apr 2006
「祈りに治療効果なし」−米ハーバード・メディカル・スクール
 米ハーバード・メディカル・スクールの研究チームは、第三者による手術の成功の祈りが患者の回復に効果があるかどうかについての調査報告を発表した。対象にしたのは、6ヶ所の医療機関で冠状動脈バイパス手術を受ける予定の1800人の心臓病患者。手術の成功を祈るのは、患者とは面識のないキリスト教信者の団体に依頼した。

 調査では、まず、1800人の患者を600人ずつの3グループに分け、それぞれ(1)「手術前に祈りの対象になるかもしれないと告げられながらも、実際には対象になっていなかった」(2)「手術前に祈りの対象になるかもしれないと告げられ、実際に対象になっていた」(3)「祈りの対象になることを確証していた」の条件で実施。術後30日間、患者の容態をモニターして、それぞれの条件とつき合わせた。

 その結果、祈りに患者の回復を早める効果はみられなかったが、祈りの対象になっていると確証していた患者のグループのほうが、確証を与えられていないグループの患者より合併症を起こす確率が高いことがわかったという。研究チームは「祈りをささげられていることがかえって、患者を落ち着かせなくしてしまったのではないだろうか」と指摘している。

 ただ、このような調査に意味があるのかといった厳しい見方もある。研究チームのハーバート・ベンソン博士が認めている通り、「神の存在を信じるかどうか」「神は祈りに応えてくれると思うかどうか」などの質問は患者にしておらず、ハワイ大学の精神身体学専門家、ジョン・スレツァー氏も「科学的に、もっと評価しやすい質問をするべきだった」と患者の考え方についての調査不足を指摘している。

 この調査報告は「Study of the Therapeutic Effects of Intercessory Prayer (STEP) in cardiac bypass patients: A multicenter randomized trial of uncertainty and certainty of receiving intercessory prayer」のタイトルで「AMERICAN HEART JOURNAL Volume 151, Issue 4 , April 2006, Pages 934-942 」誌に掲載された。
<関連サイト>
CBS
First published online 31 March 2006@
特殊ファイバーで化学療法の副作用を軽減−英バース大学
 英バース大学は、特殊なファイバーを使ってガンの患部に直接、化学治療薬を投与する技術を開発した。

使用されるファイバー 同大が開発したのは、ファイバーの先をビーズ状にして患部に埋め込み、体外に出ている、もう一方の先から治療薬をしみ込ませる方法。直接幹部に埋め込むため、従来に比べて少ない治療薬の投与量で済むという。また、使用されるファイバーは、生分解性物質でつくられており、時間が経つと液化する。体細胞と互換性があるため、患者が拒絶反応を起こすこともないという。

 従来のガンの化学療法では、効果を挙げるために静脈注射で大量の治療薬を投与する必要がある。しかし、その結果、治療薬が患部以外の部分にも回り、吐き気などの副作用を起こすほか、中には死亡するケースもある。

 同大は、この技術の実用化に向けて、数年内に臨床試験を行なう計画という。
<関連サイト>
http://www.bath.ac.uk/news/articles/releases/fibres310306.html
First released 31 March 2006 @
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.