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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.04.14
57カ国で医療人材不足が深刻−WHOが警告
 世界保健機関(WHO)は、このほど発行した「世界保健報告書2006(World Health Report 2006 - Working together for health)」のなかで、発展途上国57カ国が、深刻な医療人材不足に陥っていると警告した。給与水準の高い諸外国への人材流出、社会不安、エイズ感染の影響などが人材不足の背景にあるとしており、関連の各国政府や国際社会に対し、医療人材の偏在解消に向けた迅速な対応を求めた。

 医療人材不足が深刻なのは、サハラ砂漠以南の36カ国を含む57カ国。WHOによれば、これらの国々では合わせて400万人の医療人材が不足しているという。すでに子供の予防接種や安全な分娩など基本的な医療すら提供できないケースも多く、感染症や分娩時の合併症による死者数は毎年少なくとも1000万人に上る。WHOは、人材不足の解消で基本的な医療体制を整えれば、こうした死亡者数を減らすことができると訴えている。また、国際問題化している鳥インフルエンザ対策においても、これらの国々の医療体制の整備は不可欠と強調した。

 WHOは、人材不足の解消策として各国政府に対し、人材育成基盤の強化および給与資源の確保、就労環境の整備等を挙げた。また、国際社会に対しても資金的な支援を求めた。WHOの試算では、向こう20年間で、400万人の医療人材を確保するには、これら57カ国の医療費を国民1人当たり10ドル程度引き上げる必要があるという。

 WHOのティム・エバンス副事務局長は、「サハラ砂漠以南諸国では、6億8200万人の人口に対し、医療従事者はたった75万人。OECD加盟諸国と比べると、人口比での医療従事者の割合は10〜15分の1である。先進国への医療関係者の偏在を解消するためには、各国政府による対策と国際協調が必要だろう。医療人材が不足している国からの採用を控えるなど先進国の配慮も重要である」と強調した。

「世界保健報告書2006」PDF版ダウンロードはこちら >>

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<関連サイト>
World Health Day: Working together for health
First released 7 Apr 2006 @
テレビを見ながらの食事は児童の過食の原因?
 米ペンシルベニア州立大学の研究チームは、食事中のテレビ観賞が就学前の児童の食事量にどのように影響するかを調べた。その結果、普段からテレビを見ながら食事をする子供は、テレビをつけたままの食事量が、テレビをつけない場合よりも3割も多いことがわかった。逆に、普段から食事中にテレビを見ない子供は、テレビをつけたままの時の食事量が、テレビをつけない場合よりも少なかったという。

 実験では、児童24人(3〜5歳)を同じ部屋で一緒に食事をさせ、テレビをつけているときと、つけていないときで、食事量に変化があるかを調べた。児童に見せたのは、アニメ番組。テレビをつけている時もつけていない時も食事の内容は同一とした。普段から食事の最中にテレビを見ているかどうかは、それぞれの母親に確認した (24人中8人が普段の食事でテレビを見ていることが確認された)。

 研究チームのロリ・フランシス助教授は「これだけ食事量に影響が出るということは、テレビを見ながらの食事を続けると児童の満腹感の感覚に障害が生じるということだ。エネルギー摂取量の自己管理をさせるためにも、保護者は、テレビをつけたまま、子供に食事をさせるようなことを控えるべきだ」と述べた。

 研究報告は「テレビを見ながらの食事は児童の食事量に影響するか(Does Eating During Television Viewing Affect Preschool Children's Intake?)」のタイトルで、『米栄養学協会報誌(Journal of the American Dietetic Association)』4月号に掲載された。
First Released 3 Apr 2006 @
中高年の睡眠不足は高血圧の原因?−米コロンビア大
 米コロンビア大学の研究チームは、睡眠時間が短い人ほど高血圧を起こしやすい、とする研究論文を発表した。それによると、同じ32〜59歳の年齢層でも、1日の睡眠時間が5時間以下の場合、高血圧と診断される確率は24%と、睡眠時間7〜8時間 (同12%)の人に比べて倍の確率で高いという。また、70、80年代前半に実施した米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを通じて、睡眠時間の短い人ほど高血圧の原因になりやすい疾患や体質になる傾向があることも確認できたとしている。

 同大のジェームズ・E・ギャングウィッシュ氏は、「睡眠中は心拍が遅くなり、血圧も低下する。しかし、睡眠時間が短いと1日の平均血圧が上昇し、平均心拍数も増える。このことが、血圧上昇の原因になるのではないか」と睡眠と血圧の関係を分析している。

 同チームはまた、1971〜74年に実施された第1回NHANESの対象4810人のデータを80年代前半の追跡調査の結果と比較。各々の体調の変化と睡眠時間の相関関係を調べた。その結果、1日の睡眠時間が5時間以下の人は、7〜8時間の睡眠を毎日とっている人に比べて運動量が少なく、約10年前に比べてBMI値が上昇する傾向にあったという。また、糖尿病や鬱病、日中の眠気などを起こす確率も高かった。

 この結果から、ギャングウィッシュ氏は「短い睡眠時間が高BMI値や糖尿病などにつながり、結果的に高血圧になる可能性がある」と指摘。「さらに生物リズムとの関係も確認できれば、(高血圧予防として)睡眠を調整する治療も検討すべきだろう」との見方を示した。
First Released 3 Apr 2006 @
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