米コロンビア大学の研究チームは、睡眠時間が短い人ほど高血圧を起こしやすい、とする研究論文を発表した。それによると、同じ32〜59歳の年齢層でも、1日の睡眠時間が5時間以下の場合、高血圧と診断される確率は24%と、睡眠時間7〜8時間 (同12%)の人に比べて倍の確率で高いという。また、70、80年代前半に実施した米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを通じて、睡眠時間の短い人ほど高血圧の原因になりやすい疾患や体質になる傾向があることも確認できたとしている。
同大のジェームズ・E・ギャングウィッシュ氏は、「睡眠中は心拍が遅くなり、血圧も低下する。しかし、睡眠時間が短いと1日の平均血圧が上昇し、平均心拍数も増える。このことが、血圧上昇の原因になるのではないか」と睡眠と血圧の関係を分析している。
同チームはまた、1971〜74年に実施された第1回NHANESの対象4810人のデータを80年代前半の追跡調査の結果と比較。各々の体調の変化と睡眠時間の相関関係を調べた。その結果、1日の睡眠時間が5時間以下の人は、7〜8時間の睡眠を毎日とっている人に比べて運動量が少なく、約10年前に比べてBMI値が上昇する傾向にあったという。また、糖尿病や鬱病、日中の眠気などを起こす確率も高かった。
この結果から、ギャングウィッシュ氏は「短い睡眠時間が高BMI値や糖尿病などにつながり、結果的に高血圧になる可能性がある」と指摘。「さらに生物リズムとの関係も確認できれば、(高血圧予防として)睡眠を調整する治療も検討すべきだろう」との見方を示した。
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