先見創意の会
MENU
SSネット勉強会
<< トップへ戻る 海外トピックスバックナンバー一覧へ >>
海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.04.21
高齢者の高血圧治療が痴呆予防に−米国立高齢化研究所
 米国立高齢化研究所(NIA)パシフィック・ヘルス・リサーチ・インスティテュートハワイ大学の共同研究チームは、高齢者の高血圧治療に痴呆の進行を抑える効果があるとの臨床試験結果を発表した。

 分析は、ホノルル在住アジア系住民高齢化調査から1900〜1919年生まれの日系アメリカ人848人を選出して行なった。試験開始当時、848人は全員、50〜65歳で高血圧と診断されており、77歳の時点では痴呆を起こしていなかった。

 その後、3年後、6年後にそれぞれ痴呆診断テストを行い、その結果を高血圧の治療の有無と、治療を受けている場合は治療期間の長さによって痴呆の進行がどれだか抑えられているかを調べた。その結果、高血圧治療を受けている人のほうが、受けていない人に比べて痴呆の進行が抑制されており、痴呆の進行の度合いは治療期間が長ければ長いほど抑えられていたという。

 患者が高齢者の場合、血圧を下げるとかえって認知症を起こす可能性があるとして治療を控えるケースがあるが、研究チームでは、「高血圧が長く続くと脳血管を損傷し、痴呆でなくても認知能力に問題が生じる場合がある。この臨床試験の結果から、高血圧治療は認知能力の維持にも効果があるといえるのではないか」としている。

 この臨床試験の結果は、米心臓協会の会報誌「Stroke」速報版に掲載された。
First released 6 Apr 2006 @
適度な飲酒は女性の認知能力アップに効果−米コロンビア大
 米コロンビア大学では、1日に1〜2杯程度の飲酒をする女性は、まったく飲酒をしない女性よりも認知能力が高いとする研究報告を発表した。2,215人の脳卒中を起こしたことのない女性(平均年齢69歳)を対象に、ミニ精神状態テスト(Mini Mental State Exam、MMSE)を実施、飲酒量別に結果を比較したところ、1日に1〜2杯の飲酒をする女性は、1週間の飲酒量が1杯以下の女性に比べて、スコアが20%も高かったという。

  結果は、研究の対象者の収入、民族、血圧や心臓疾患など血管系の疾患の有無などの要因を加味しても変わらなかった。心臓発作や卒中の要因になる頚動脈プラークと飲酒量の相関関係もなかった。このため「(この研究結果としては)プラークが蓄積して起きるアテローム(性動脈)硬化と認知能力の格差にも関連性はなかった、といえる」(クリントン・ライト博士)。

 同じテストを男性で行ったところ、飲酒量と認知能力の格差に相関関係はなかった。これについて、ライト博士は、「比較対照に十分な人数の『飲酒をしない男性』が集まらなかったため」と説明している。

 ライト博士は、「MMSEだけでは認知能力の格差を判断する十分な基準にはならないが、この結果から、少量の飲酒は女性にとって良いことであるといえるのではないか。また、飲酒とアテローム硬化に関連性がなかったことも注目点だ」とし、現在、さらに詳細な分析結果を出すための精神心理的な調査を実施しているという。
First released 6 Apr 2006 @
発達障害児を兄弟に持つ児童のケアの必要性
 慢性病や発達障害のある兄弟を持つ児童に精神や感情面におけるケアが必要だ――。米ブレイドリー・ハズブロ・チルドレンズ・リサーチ・センター(BHCRC)とブラウン・メディカル・スクールの研究チームは、慢性病や発達障害のある兄弟を持つ児童は、そうでない児童の2〜3倍の確率で心理的な適応障害を起こしやすいと指摘。児童が障害を持つ兄弟に対する理解を深め、前向きな気持ちで日々過ごすことができるように、同じ境遇の児童と親とが共有する問題点を話し合い、情報交換できるグループカウンセリングを推奨している。

 研究チームは、実際に、障害のある兄弟をもつ43人の子供(4〜7歳)とその親を、子供だけのグループ、親だけのグループに分けて、それぞれ障害や疾患を持つ兄弟との生活における共通の悩みについてカウンセリングを行なった。参加した児童の兄弟は、自閉症、脳性小児麻痺、精神遅滞、アスペルガー障害、ガン、トゥーレット障害などの患者。

 6回にわたるカウンセリングを行なった結果、児童は兄弟の障害について理解を深め、自分ひとりの悩みではないのだという他の人々との「つながり」を感じ、自信を持つようになったという。

 BHCRCのデブラ・ロバト博士は「障害のある児童がいる家庭では、健康な児童が病気の兄弟の面倒を見る役目を負うなど気を使うことが多く、親の関心も疾患を持つ児童に向きがちである。兄弟の疾患について理解できないまま、家の外で人からじろじろ見られる経験をして、社会生活に支障をきたすこともある。兄弟であれば、良い面でも悪い面でもお互いに影響しあうものだ。疾患を持つ兄弟を持つ児童の精神面でのケアは重要である」と述べた。
First released 10 Apr 2006 @
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.