米コロンビア大学では、1日に1〜2杯程度の飲酒をする女性は、まったく飲酒をしない女性よりも認知能力が高いとする研究報告を発表した。2,215人の脳卒中を起こしたことのない女性(平均年齢69歳)を対象に、ミニ精神状態テスト(Mini Mental State Exam、MMSE)を実施、飲酒量別に結果を比較したところ、1日に1〜2杯の飲酒をする女性は、1週間の飲酒量が1杯以下の女性に比べて、スコアが20%も高かったという。
結果は、研究の対象者の収入、民族、血圧や心臓疾患など血管系の疾患の有無などの要因を加味しても変わらなかった。心臓発作や卒中の要因になる頚動脈プラークと飲酒量の相関関係もなかった。このため「(この研究結果としては)プラークが蓄積して起きるアテローム(性動脈)硬化と認知能力の格差にも関連性はなかった、といえる」(クリントン・ライト博士)。
同じテストを男性で行ったところ、飲酒量と認知能力の格差に相関関係はなかった。これについて、ライト博士は、「比較対照に十分な人数の『飲酒をしない男性』が集まらなかったため」と説明している。
ライト博士は、「MMSEだけでは認知能力の格差を判断する十分な基準にはならないが、この結果から、少量の飲酒は女性にとって良いことであるといえるのではないか。また、飲酒とアテローム硬化に関連性がなかったことも注目点だ」とし、現在、さらに詳細な分析結果を出すための精神心理的な調査を実施しているという。
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