カナダのブリティッシュ・コロンビア癌研究センターの研究者は、生体組織に光を当てると生じる蛍光色で、口内にできた爛れなどの部位の細胞が悪性腫瘍になるものかどうかを見分ける携帯型識別装置「VELScope」を開発した。もともと口内ガンは目視による早期発見率が高いとされるが、「この装置を使えば、見ただけで判断がつきにくいものでも、その場で、ほぼ確実に見分けることができる」としている。
装置は、光を照射する装置と接眼レンズを組み合わせたもので、軽量で持ち運び可能なサイズ。健常な口内組織は青い光を照射している間、薄い緑色の蛍光色を発し、腫瘍細胞は濃い緑色から黒の蛍光色を発するとされる。VELScopeを使えば、医師は確認したい部位に光を照射しながら、接眼レンズを通して組織が発する蛍光色を容易に確認することができるという。
実験で、44人から50部位の口内組織を調べた。その結果を同じ組織の生体組織検査とつき合わせたところ、ほぼ100%の確率で前癌病変とされる食道粘膜の異形成やがんを確認できたという。
開発を率いたミリアム・ロジン博士は現在、VELScopeで肺がんと頸部がんを識別できるかどうかも調査中という。蛍光色の違いが具体的に何を示すものなのかについても、さらに詳しく調べる計画だ。
VELScopeの開発には、米国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)の支援も得た。
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