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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.05.26
家庭内暴力をコンピューター上のアンケートで察知−ペンシルベニア大
 家庭内暴力による負傷で、救急外来に駆け込むケースは多いとみられるが、処置に当たった医師が、患者が家庭内暴力の被害者であると見分けるのは難しいとされる。時間的な制約があるなかで、担当医が家庭内暴力という込み入った問題について患者と話す機会がないこと、そして、患者側も尋ねられない限りは家庭内暴力について話さないことが多いためだ。

 米ペンシルベニア大学の研究チームは、パソコン上で家庭内暴力について尋ねるアンケートを行い、その結果に基づいて問診するスクリーニングを行ってからのほうが、通常の診療より患者が家庭内暴力の被害にあっているかどうか見分けやすい、との調査結果を発表した。パソコンの画面上でアンケートを行うのは、筆記アンケートや医師が面と向かって質問するよりも、込み入った問題についての回答が得やすい、との過去の調査結果に基づく。

 調査は、19ヶ月の間に、都市部と郊外それぞれ一箇所の救急外来を訪れた患者を対象に実施。無作為に選出した合計903人の患者を対象に、スクリーニングを実施したグループとそうでないグループで、家庭内暴力について医師に話す確率がどの程度違うかを比べた。その結果、スクリーニングを受けた患者グループのほうがないグループに比べて2倍の確率で家庭内暴力について話し出すことが多かったという。また、調査対象にした都市部、郊外の救急外来ともに患者の20%以上が家庭内暴力を受けている可能性が示唆されたという。

 スクリーニングをしたからといって、必ずしも家庭内暴力の被害者であると確定できるわけではないが、調査を率いたカリン・ローズ医師は「この調査により、患者が家庭内暴力について話しにくい医療体制にあることがわかった。こうしたスクリーニングが家庭内暴力があるかどうかの判断をしやすくするのであれば、医師も家庭内暴力を受けている患者の対応方法について追加的なトレーニングを受ける必要があるかもしれない」と述べた。
First released 23 2006 @
ナノテクノロジー開発に「待った」−欧米科学者らが安全性の問題を指摘
 先端技術として注目されるナノテクノロジー(超微細技術)だが、欧米の科学者の間では各種の化学物質のナノ粒子などが身体に及ぼす影響やリスクについて調査すべきだ、との見方が強まっている。ナノテク専門誌「Nano Today」は、5月号で、ナノテクの安全性に関する特集を組んだ。各種の開発プロジェクトの一時停止を訴える圧力団体も出ており、安全性をめぐる論議は今後、広がりそうだ。

  NanoToday誌で、ナノテク技術の安全性を確認すべきだと訴えたのは、米Woodrow Wilson International Center for Scholars(ワシントン)のアンドリュー・メイナード氏。同氏は、現時点で存在する各種の化学物質のナノ粒子のなかで身体に影響する可能性のあると考えられるものを選出し、それらが、粒子が肺や皮膚、消化器官を通じて体内に入り込み、蓄積する可能性があると指摘する報告を発表。そのうえで、「危険性についての一般認識が高まれば、管理できる問題である。安全性を確かめた上で、一般にも受け入れられる製品開発を目指す戦略的なアプローチが必要だ」と訴えた。

 ナノテク技術をめぐる安全性の問題では、英王立協会英王立工学アカデミーも同様の懸念を示しているほか、他の科学者からも「健康や環境に対する悪影響を十分理解したうえで、リスクを最小限に抑えるための合理的な取組みが、ナノテクの今後の成功を支えるだろう」との声があがった。

 ナノテクは、物質の特性を決定する構造(結晶の大きさ、膜の厚さ、粒子の直径など)の少なくとも一つが、ナノメートル(1メートルの10億分の1)で定義できる大きさを持った物質を創製し、その物質を組み合わせて、コンピューターや通信装置などを開発する技術。
First released 23 May Apr 2006 @
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