米国疾病予防管理センター(CDC)と米国立衛生研究所(NIH)は、米国の20歳以上の成人の間で糖尿病患者数が増加傾向にあり、自分が糖尿病であるという自覚がない患者が1/3もいるとの報告書を発表した。
CDCとNIHは、1994〜1988年と1999〜2002年にそれぞれ実施された米国民健康栄養調査(The National Health and Nutrition Examination Survey 、NHANES)の身体所見、血糖値などのデータを比較。その結果、糖尿病と診断された患者数が20歳以上の成人に占める割合が5.1%から6.5%に増えていたことがわかったという。また、自分が糖尿病であることを知らなかった人の割合は1/3に上り、26%の成人が空腹時血糖異常(IFG)で糖尿病前症であることもわかった。
糖尿病前症とは、糖尿病と診断されるほど高血糖ではないが血糖値が高い状態のことを指す。糖尿病前症の多くは10年以内に2型糖尿病に移行し、たとえ糖尿病にならなくとも心臓発作や脳卒中の危険性は大幅に増大する。糖尿病になるリスクや発症を遅らせるためにも、自分が糖尿病前症や糖尿病であるかどうかを確認することは必要といえよう。
Dr. Larry Blondeは「もし糖尿病前症であったり2型糖尿病であったら専門の医師に自分のリスクを相談するべきだ。なぜなら、糖尿病というほど血糖値が高くない場合は体重を減らし運動をすることで2型糖尿病になるリスクを減らせるからだ。糖尿病であっても血糖値や血圧、コレステロール値をコントロールすることによって糖尿病の合併症を防いだり、発症を遅らせることが出来るだろう」と強調した。
IFG(impaired fasting glucose空腹時血糖異常):空腹時血糖が高値だが糖尿病とはまだ診断されない状態。IGT(impaired glucose tolerance)耐糖能異常:経口糖負荷試験で高値を認めるが糖尿とはまだ診断されない状態。アメリカ糖尿病学会(ADA)や世界保健機関(WHO)で使用。日本では糖尿病の診断基準(日本糖尿病学会)でIFG及びIGTの概念を両方含むものを「境界型」としている。
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