慢性C型肝炎ウイルス(HCV)の感染者は米国だけで410万人に上る。現在、有効とされているHCV感染の治療法としては、「ペグインターフェロン・アルファとリバビリンの併用療法」があるが、肥満を伴う慢性C型肝炎患者の場合、肥満ではない患者ほど効果があがらないことが多い。
米メイヨー・クリニック/メイヨー財団のマイケル・R・チャールトン博士らは、体重の減少と糖尿病治療薬投与によるインシュリン抵抗性の抑制、併用療法の期間延長と治療薬の投与量の増加が、肥満を伴う患者に対しても、同併用療法の効果を高める有効な方法である、とする論文を発表した。
同博士らは、報告書の中で、肥満が併用療法の効果を阻害する要因を3点挙げた。それらは、(1)脂肪組織は免疫システムを左右するホルモンを分泌する。つまり、肥満による脂肪組織が増大すれば、免疫機能を活性化する働きのあるペグインターフェロンの効果を弱めることになる(2)C型肝炎ウイルス感染により、インシュリン抵抗性が増大した患者は、肝臓に脂肪を蓄積しやすくなっている。これに肥満が重なれば肝機能はさらに低下する(3)脂肪組織は、ペグインターフェロンの体内循環量を減少させる働きがある−−である。
チャールトン博士はこれらを踏まえ「(上記の)代謝異常に焦点を当てた治療戦略により、肥満の患者にも効果的な治療を行なうことができるだろう」と強調した。
この論文は、米国肝臓学会議(American Association for the Study of Liver Diseases 、AASLD)の会報「Hepatology」2006年6月号に「Impact of Obesity on Treatment of Chronic Hepatitis C」として掲載された。
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