先見創意の会
MENU
SSネット勉強会
<< トップへ戻る 海外トピックスバックナンバー一覧へ >>
海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.06.16
受動態喫煙で骨粗鬆症のリスクは3倍に
 老若男女を問わず、喫煙していてもいなくても、タバコの煙はあなたの骨を弱め、骨折の危険性を高める――。トロントで6月上旬、開かれた国際骨粗鬆症財団の世界骨粗鬆症会議でこんな研究論文が複数発表された。

 喫煙は女性の骨粗鬆症のリスクを高めることは良く知られている。しかし今回の、スウェーデンにおける2つの研究と中国における研究の1つによれば、喫煙は若年の男性の骨も弱くすることも確認された。中国の研究では、自分以外の人が吸っているタバコの煙を吸う「受動喫煙」であっても、性別にかかわらず、骨粗鬆症と骨折のリスクが高くなることも初めて示された。

 イェーテボリ大学サールグレンスカ・アカデミー骨研究センターの研究によると、18〜20歳のスウェーデン人1,000人以上の骨密度を測定し、喫煙者と非喫煙者で比較した場合、喫煙者のほうが骨密度は低くなっていたという。大腿骨頚部での骨密度が10%以上低くなると骨折のリスクが2倍になるといわれているが、喫煙者では5%以上も低下していた。また、今回の研究では骨の3D画像を通じて、海面骨(中の柔らかい骨)を取り囲む硬い皮質骨が喫煙者の間で薄くなっていることがわかり、骨の強度が落ちていることも示唆された。

 同センターの別の研究では、3,000人以上の高齢者について、喫煙歴と骨密度や骨折歴の相関関係が認められた。また、1,300人以上に脊椎のレントゲン撮影を行ったところ、17%に未診断の脊椎骨折があることも判明。このデータをもとに、喫煙歴の有無で脊椎骨折率を比べたところ、喫煙歴のあるグループは24%と喫煙歴のないグループ(14%)を10ポイントも上回ったという。

 米ハーバード公衆衛生大学院のYu-Hsiang Hsu氏らは、中国で男性及び閉経前女性14,000人以上の大腿骨頚部の骨密度を測定し、喫煙歴と脊椎以外の骨折の関係を調べた。それによると、喫煙歴はないものの、受動喫煙歴のある女性のグループは、受動喫煙もなく喫煙歴のない閉経前の女性に比べると骨粗鬆症を起こすリスクが3倍、脊椎以外の骨折を起こす危険性が2.6倍も高かったという。
First released 5 June 2006 @
コレステロール低下薬がインフルエンザ感染対応に有効?
 発展途上国でも広く生産され、ジェネリックも出回っているコレステロール低下薬スタチン。免疫機能に作用して心臓を保護し、炎症を防ぐ効果があることから、最近では、肺炎やバクテリア感染の治療に役に立つことが指摘されている。これを受けて、鳥インフルエンザの流行の際にもワクチンの備蓄が間に合わない場合は、スタチンが感染患者の延命に有効ではないかと指摘する論文が「Clinical Infectious Diseases」7月15日付号に掲載された。

 論文の筆者、デビッド・フェドソン博士は、某大手ワクチンメーカーに勤めた経歴がある。「スタチンが感染患者の治療に有効かどうかは、まだ1つのアイデアに過ぎず、厳しい科学的な調査を通じて確認する必要がある。また、ウイルスの感染を防ぐこともできないだろう。しかし、インフルエンザ・ウイルスの感染によって引き起こされる炎症や心臓疾患のリスクを抑える効果はあるだろう」と述べた。

 また、「スタチンは一年中、何千万もの心臓病患者のために、世界中のほとんどすべての国で生産されている薬品だ。5〜10日間程度あれば、インフルエンザ流行に対応するのに十分な量のスタチンを準備することができ、通常の生産工程にもそれほど響かないだろう」と強調した。
First released 13 June 2006 @
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.