老若男女を問わず、喫煙していてもいなくても、タバコの煙はあなたの骨を弱め、骨折の危険性を高める――。トロントで6月上旬、開かれた国際骨粗鬆症財団の世界骨粗鬆症会議でこんな研究論文が複数発表された。
喫煙は女性の骨粗鬆症のリスクを高めることは良く知られている。しかし今回の、スウェーデンにおける2つの研究と中国における研究の1つによれば、喫煙は若年の男性の骨も弱くすることも確認された。中国の研究では、自分以外の人が吸っているタバコの煙を吸う「受動喫煙」であっても、性別にかかわらず、骨粗鬆症と骨折のリスクが高くなることも初めて示された。
イェーテボリ大学サールグレンスカ・アカデミー骨研究センターの研究によると、18〜20歳のスウェーデン人1,000人以上の骨密度を測定し、喫煙者と非喫煙者で比較した場合、喫煙者のほうが骨密度は低くなっていたという。大腿骨頚部での骨密度が10%以上低くなると骨折のリスクが2倍になるといわれているが、喫煙者では5%以上も低下していた。また、今回の研究では骨の3D画像を通じて、海面骨(中の柔らかい骨)を取り囲む硬い皮質骨が喫煙者の間で薄くなっていることがわかり、骨の強度が落ちていることも示唆された。
同センターの別の研究では、3,000人以上の高齢者について、喫煙歴と骨密度や骨折歴の相関関係が認められた。また、1,300人以上に脊椎のレントゲン撮影を行ったところ、17%に未診断の脊椎骨折があることも判明。このデータをもとに、喫煙歴の有無で脊椎骨折率を比べたところ、喫煙歴のあるグループは24%と喫煙歴のないグループ(14%)を10ポイントも上回ったという。
米ハーバード公衆衛生大学院のYu-Hsiang Hsu氏らは、中国で男性及び閉経前女性14,000人以上の大腿骨頚部の骨密度を測定し、喫煙歴と脊椎以外の骨折の関係を調べた。それによると、喫煙歴はないものの、受動喫煙歴のある女性のグループは、受動喫煙もなく喫煙歴のない閉経前の女性に比べると骨粗鬆症を起こすリスクが3倍、脊椎以外の骨折を起こす危険性が2.6倍も高かったという。
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