昭和大学、金沢大学、米ハワイ大学の研究チームは、ホルモン療法を受ける前の前立腺特異抗原PSA値が100以下の場合、日系アメリカ人の患者の前立腺がん患者の生存率が白人系アメリカ人より高いとの研究論文を発表した。
ホノルルにあるクイーンズ・メディカル・センターで治療を受ける前立腺がん患者164人(日系人105人、白人系アメリカ人59人)を対象に、同センターでホルモン療法を始めてから5年後の生存率を調べた。そのうえで、年齢(平均年齢76歳)や人種、ホルモン療法開始前の前立腺特異抗原PSAの測定値、がんの進行度、がん細胞の悪性度を測るグリーソン・スコア等のデータの相関関係を調べたところ、PSA値が100以下の患者の場合(全対象者の1/4)、日系アメリカ人の生存率が66%だったのに対し、日系アメリカ人の生存率は42%だったという。
PSA値が100以上の患者の間では、生存率に人種間の格差はみられなかった。
研究チームは、同様の比較を中国系アメリカ人に対して行なったところ、PSA値が100以下の場合、白人系アメリカ人よりも高い生存率が確認されたとし、「前立腺がんの進行の度合いに遺伝的な人種間の格差があるのかもしれない」と指摘している。日系アメリカ人のほうが白人系アメリカ人よりも、ホルモン療法の副作用が少ないことも認められたという。
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