「ネッビオーロ」、「メルロー」、「カベルネソーヴィニョン」、「サンジョヴェーゼ」、「クロアチナ」――。これらの赤ワインの原料となるブドウの皮には、睡眠ホルモン「メラトニン」が高いレベルで含まれ、睡眠を促す働きがある――というイタリアの科学者たちの研究論文が『Journal of the Science of Food and Agriculture』に掲載された。
メラトニンは主に夜間、ヒトの脳の松果体から分泌されて、睡眠を促すホルモン。最近まで哺乳類のみが生成すると考えられていたが、近年、植物からも発見されるようになった。研究を行ったミラノ大学のイリティ・マルチェロ氏は「ワインに含まれるメラトニンが、哺乳類の松果体から分泌されるメラトニンと同じようにサーカディアンリズム(睡眠と覚醒のリズム)を調整する可能性がある」とし、「なぜ多くの人が一日の仕事を終えたあとの夜に、酒を飲み、くつろぐのかが説明できるかもしれない」と述べた。
メラトニンは、抗酸化作用があると考えられているほか、マルチェロ氏らの研究では、病害抵抗性誘導剤「ベンゾチアジアゾール」を塗布したブドウのメラトニン含有量が増加することもわかった。
しかし、米マサチューセッツ工科大学の脳・認知科学部のリチャード・ワルトマン氏のように「その化合物がメラトニンなのか、それに似た化合物なのかについてはさらに研究が必要だ」との指摘もある。
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