米ユタ大学の研究者たちは、たんぱく質の一種「ネトリン」に神経を修復し、血管を成長させる効果があることを動物実験で確認した。特に糖尿病のネズミに対する効果が顕著だったとし、推定2100万人に上るとされる米国の糖尿病患者の治療にも役立つ可能性があるとしている。
同大学医学部のディーン・Y・リー助教授らは、「ネトリン-1」が、血管の成長を促進することを試験管レベルの実験で示していたが、ネトリンを実際に動物に投与して効果を確かめる実験を行なったのは今回初めて。
実験では、抹消血管障害により血流量の減ったネズミにネトリンと血管内皮成長因子(VEGF)をそれぞれ別々に投与し、結果を比較した。両者ともに同レベルでネズミの血管の成長を促進することを確認したが、そのなかで糖尿病のネズミについては、ネトリンのほうがVEGFよりも、血管と神経の成長をより一層促進することが分かったという。糖尿病は患者の神経と血管を傷めることで知られる。
リー助教授によれば、ネトリンについてはさらなる臨床試験を経なければならず、実際に治療に使われるようになるまでは10年程度はかかる可能性がある、としている。
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