「高齢の農業従事者の負傷からの回復期には、鎮痛薬の使用方法に注意を」。カナダのアルベルタ大学のチームは、農業のように肉体労働を必要とする職業に就く高齢者の場合、鎮痛薬や抗炎症剤の使用を負傷の回復途上で止めると、再び負傷する危険性が高くなるとして、特別の注意を払うよう呼びかける報告書を発表した。
報告書によると、保健及び農業関連機関に登録されている66歳以上の農業従事者8,129人(男性)うち、約3.5%に当たる282人が農作業中に鎮痛薬の使用に関連した怪我をしていたことがわかったという。
報告書の執筆者、同大公衆衛生学のドン・ヴォークランダー教授は、「鎮痛薬の使用を止めたことで発生した痛みによる注意力散漫、運動能力にかかる制限で、転落事故や衝突、機械や家畜による怪我などを起こしやすくなっていたようだ。また、禁断症状から体の動きが制限されたケースもある」と指摘した。
同教授は、この結果から「医師は、農業のような重労働に就く患者を診る際に、患者とともに、(痛みなど)身体にかかる制限が、いかに患者の作業能力を妨げるかを強く認識する必要がある。また、患者には鎮痛薬などの治療薬を処方された通りに使うことの重要性を認識してもらうべきだろう」と強調した。
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