肥満を判断するのに長い間用いられてきたBMI(body mass index)について、本当にその人が高脂肪であるかどうかを評価するには不十分であるとの指摘があがっている。BMIは身長と体重の比を用いて算出する。この値が30を超えるようだと肥満とされ、様々な病気の危険性が高まると言われる。米ジャクソン研究所が、ネズミの遺伝子及び身体的特徴の解析を行なったところ、遺伝子レベルでは、高体重が必ずしも高脂肪に直結していないことが示されたという。
研究を行なったのは、同研究所のグレイ・チャーチル博士らのチーム。構造方程式モデルという統計的手法を用いて、ネズミの遺伝子及び身体的特徴を解析し、ゲノムのどの領域が脂肪の量や体格及び骨格に影響を与えるかを調べた。その結果、体格に影響する多数の遺伝子のネットワークと体脂肪に影響するネットワークが別のものであることが判明したという。このことから「高体重が必ずしも高脂肪にはつながらないことがわかった」(チャーチル博士)としている。
BMIの信頼性をめぐっては、臨床現場でもかねて疑問の声があがっていた。高体重が骨などの質量が多いためのものなのか、高脂肪だからなのか区別できないためだ。肥満かどうかわからなければ、その患者が糖尿病や心疾患などのリスクを抱えているかも判断できない。
また、チャーチル博士は「肥満・糖尿病や・心疾患などの病気は、多数の遺伝子や環境の要因が複雑に関連して発症する。今後は、これらの要因や働きを解明し、新たな治療法の開発につなげたい」と述べた。
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